能登半島で「オフグリッド集落」実証研究が始動 金沢大学が災害に強い地域モデルを構築
能登半島地震の被災地において、被災経験を踏まえた持続可能な地域の新たなモデルを創出しようと、金沢大学が実証研究を開始しました。この取り組みは「未来知MITSUKEプロジェクト」と名付けられ、既存の電気や水道などのインフラに依存しない自立的な「集落」の構築を計画しています。プロジェクトの詳細と目指す未来について、金沢大学能登里山里海未来創造センターの枡儀充事務室長に話を聞きました。
最先端技術を駆使した自給自足システムの構築
プロジェクトは、石川県珠洲市宝立町鵜島の見附島近く、約2800平方メートル弱の海岸沿いの土地を借り受け、災害時でも水や電気を自給できる「オフグリッド集落」の仕組みを整備します。具体的には、海水の淡水化や井戸水・雨水の飲料水化による水供給、太陽光発電やミニ風力発電による電力生成、様々なタイプの燃料電池を用いた蓄電システムを導入します。
さらに、微生物を活用した汚水処理や、元々あった田畑を生かした食糧自給にも取り組み、環境影響の分析も行います。これにより、コミュニティの発展を促進し、例えば淡水化した海水を用いた水耕栽培や魚の陸上養殖など、能登の伝統的な暮らしに先端技術を融合させることで、新たな生業の創出にもつなげたい考えです。
被災経験を糧にした地域復興への取り組み
枡儀充事務室長は珠洲市出身で、多くの知人が被災しました。2024年元日の能登半島地震の2日後、金沢市内の友人たちと共に現地支援に向かい、停電や断水の中での避難生活を目の当たりにしました。この経験が、災害に強い持続可能な地域モデルを構築する必要性を強く感じさせ、プロジェクトの発足につながりました。
プロジェクトでは、単に技術的な自立を目指すだけでなく、地域コミュニティの結束を高め、住民が主体的に関わることで、長期的な回復力と活力を育むことを重視しています。能登半島地震からの教訓を活かし、将来の災害に備えたレジリエントな社会の実現を目指しています。
持続可能な未来への展望
「未来知MITSUKEプロジェクト」は、人口減少や高齢化が進む地域においても、先進的な技術と伝統的な知恵を組み合わせることで、持続可能な生活基盤を提供する可能性を探ります。この実証研究が成功すれば、他の被災地や過疎地域への応用も期待され、日本の地域創生に新たな道筋を示すことになるでしょう。
金沢大学は、この取り組みを通じて、災害に強いだけでなく、環境に優しく、経済的にも持続可能な地域モデルを確立し、能登半島の復興と未来への発展に貢献することを誓っています。