愛知県知立市歴史民俗資料館の学芸員、中川貴皓さん(39)は、中近世の交通史を専門に研究しており、江戸時代に整備された東海道の一部が、実は織田信長によってその基礎が築かれたという仮説を検証してきた。この検証結果は、歴史の新たな一面を照らし出すものとして注目を集めている。
信長による街道付け替え
江戸を中心とした五街道が歴史に登場する約25年前、信長は矢作川付近から西側の街道を付け替える大規模な工事を行った。この工事により、後の東海道のルートが大きく変わることとなった。さらに、その数年後には徳川家康が川の東側を整備し、現在の東海道の原型が形成されたと中川さんは説明する。
池鯉鮒宿と知立市の由来
東海道五十三次の39番目の宿場町として栄えた「池鯉鮒(ちりゅう)宿」は、知立市の市名の由来とも言われている。中川さんは「現在の知立のまちは信長に始まった」と講演などで紹介しており、地域の歴史認識に新たな視点を提供している。
大河ドラマと信長の土木事業
現在放映中の大河ドラマでも、主人公の兄弟以上に強烈な存在感を放つ信長。中川さんは「城と道をセットで造ったのが信長の特徴で、大土木工事をして領地支配を進めたことを改めて実感した」と述べ、歴史ロマンに思いをはせている。信長の戦国武将としてのイメージだけでなく、土木事業による地域開発の先駆者としての側面が浮き彫りになった。



