長野・安茂里の旧海軍地下壕、内部見学を中止へ 安全性と責任を考慮
長野市安茂里地区に残る旧海軍の地下壕について、保存や調査に取り組む住民有志の団体「昭和の安茂里を語り継ぐ会」は、内部の見学を中止すると発表しました。この決定は、安全性を最優先に考慮したもので、今後は映像展示や入り口からのぞき込む形での見学に切り替えられます。
地下壕の歴史と見学の経緯
同会によると、この地下壕は終戦間際まで旧海軍「第300設営隊」などによって掘り進められました。約100メートルとみられる奥行きのうち、入り口から約18メートルを同会で整備し、見学可能となったのは2021年12月のことです。それ以降、子どもから大人まで年間約200人が訪れ、戦争の歴史を学ぶ貴重な場として活用されてきました。
中止の背景と決断の理由
壕の管理や見学者の案内は同会が担ってきましたが、沖縄県名護市辺野古沖で先月に起きたボートの転覆事故を契機に、崩落事故が発生した際の安全性や責任について協議が行われました。今月10日の役員会で見学の中止が決定され、市にも意向が伝えられました。
同会の土屋光男事務局長(77)は、「これまでに事故はないが、万が一を考えると、民間で責任が取りきれない。断腸の思いで決断した」と語り、安全管理の限界を強調しました。
関係者からの反響と今後の展望
戦争の実態を学ぶ授業の一環で学生を連れて訪れていた、金沢星稜大学の菊池嘉晃教授(近現代史)は、「戦争の実態や歴史を肌で感じられる重要な施設のため、残念だ」と述べ、教育面での損失を指摘しました。
一方、同会から視察や保全への助成を求められてきた市は、「担当者が不在でコメントできない」としています。今後は、映像展示などを通じて歴史継承の取り組みが続けられる見込みです。



