埼玉県川口市で、外国にルーツを持つ子どもたちの学校教育に関するイベントが25日に開催された。在日外国人が県内最多の同市では、日本語指導が必要な児童生徒が増加傾向にあり、4月1日現在で1761人に達している。イベントでは小学校教員らが、日本語指導が必要な子どもが多いクラスを担当する苦悩や、全ての子どもたちの学びを充実させるために必要な支援について語った。
日本語指導の現場:教員の苦悩
イベントに登壇した60代の男性教員は、児童の約3分の1が外国籍という小学校で、昨年担任した4年生のクラスには10人以上の外国籍児童が在籍し、うち3人は日本語が全く分からない状態だったと説明。「授業中はほとんど座っているだけ。ノートと教科書も、言わないと出してくれない」と振り返る。
40年以上のベテラン教員である彼は、誰も取り残さない教育を目指してきたが、「外国籍の子どもと一緒に学ぶのは本来、すてきなこと」としながらも、時間に限りがありマンツーマン指導ができない現状を嘆く。やむを得ず授業を続けた結果、「先生として、子どもを置き去りにするのは屈辱的なこと。罪悪感でいっぱい」と肩を落とした。
希望と課題:周りの子どもたちの支え
希望を与えてくれたのは周りの子どもたちだ。休み時間に付きっきりで教え、「できるようになったよ」と満面の笑みで伝えてくれたこともあったという。「当然だが、ちゃんと教えればできない子なんていない」とし、「言語面を支援するマンパワーや場所はまだまだ足りない」と力を込めた。
別室指導の現状
こうした学校では、一部の授業時間中に別室で担当教員が読み書きなどを教える教室も運営している。しかし、担当経験のある元教員の女性は「教員1人で18~35人の子どもを受け持たなくてはならず、きめ細かい指導はできない」と強調。対象者が年度途中に増え、指導が不十分なまま「卒室」させざるをえないこともあったという。
「目の前の子どもたちが言葉が分からずに苦しんでいるのに、どうすることもできない。無力感と悔しさでいっぱいでした」と語った。
差別問題と行政の課題
在日外国人を巡っては、教育や福祉で優遇されているとのデマがSNSなどで目立つ。差別問題に詳しい渡辺雅之大東文化大特任教授は、こうした言説が広がり選挙にも影響を及ぼす中、行政が外国人のための施策を取りづらくなっていると指摘。「外国籍の人には投票権がない。有権者である市民一人一人が、一緒に暮らす彼らのことを考えて判断していかないと」と訴えた。
イベントの概要
イベントは川口市教職員組合が主催。教育関係者やボランティアで日本語を教える市民ら約60人が参加し、「教員不足を補う民間の日本語教室の支援に力を入れるべきだ」といった声が上がった。



