広島・基町地下道で自転車事故多発、5年間で20件…急勾配スロープが危険要因に
広島地下道で自転車事故多発、5年で20件…急勾配が危険

広島・基町地下道で自転車事故が多発、5年間で20件の記録

広島市中区の国道54号沿いにある「基町地下道」で、自転車同士の衝突事故が相次いで発生している。2021年から2025年までの5年間で、この地下道では合計20件の事故が記録されており、そのうち13件が自転車同士の衝突によるものだ。特に問題視されているのは、傾斜2.6度の急なスロープを下る自転車が速度を落とさずに走行し、交差点で出合い頭衝突を起こすケースが多いことである。

死亡事故も発生、90代男性が衝突後に搬送先で死亡

2026年2月2日午前9時20分頃、基町地下道で痛ましい事故が起きた。スロープを下りてきた90代男性の自転車と、地下道を走行していた40代会社員女性の自転車が交差点で出合い頭に衝突。男性は転倒して頭を強打し、意識不明の重体で病院に搬送されたが、6日後に死亡が確認された。両者ともヘルメットを着用していなかったという。

事故現場を管轄する広島中央署によると、基町地下道は周辺歩道の延長として自転車の通行が認められているが、「徐行」が前提条件となっている。しかし、実際には多くの自転車利用者がこのルールを守っていない実態が浮き彫りになっている。

現場視察で明らかになった危険な実態

記者が事故発生時と同じ時間帯に現場を訪れたところ、多くの歩行者が行き交う中、スロープを下りた後も速度を落とさずに走り去っていく自転車が散見された。交差点には四方にカーブミラーが設置されているものの、見通しが悪く、死角が多い構造になっている。

普段からこの地下道を歩いて利用している81歳のパート女性は「スピードを落とさない自転車が多く、ぶつかりそうになったことは何度もある」と不安げに語った。周辺にはエディオンピースウイング広島(Eピース)や広島城など人気スポットが多く、平日でも多くの人が利用する地下道だけに、危険性がより深刻に捉えられている。

5年間の事故データが示す危険度

広島中央署のまとめによると、基町地下道での2021年から2025年までの事故内訳は以下の通り:

  • 自転車同士の事故:13件
  • 自転車と歩行者の事故:4件
  • 自転車の単独事故:3件

同じ期間に、同署管内の他の地下道で起きた事故は、白島地区の「城北地下道」で8件、基町地下道のすぐ東側にある「城南地下道」でわずか1件だった。この比較からも、基町地下道が特に事故が起こりやすい場所であることが明確に示されている。

歴史的な経緯と安全対策の検討

管理する国土交通省広島国道事務所によると、基町地下道には元々、自転車に乗ったまま進入できないよう、スロープの入り口付近に柵が設けられていた。しかし、約10年前に「車椅子で通行できるようにしてほしい」という利用者からの要望があり、この柵が撤去された経緯がある。

2026年2月6日には、国交省と広島中央署などが合同で再発防止に向けた安全対策検討会を開催。現場視察を通じて、以下のような問題点が共有された:

  1. カーブミラーの設置位置が見えづらい
  2. 交差点に入る手前に停止線が必要
  3. 危険性をより明確に注意喚起できる対策の必要性
  4. ヘルメット非着用者が多い
  5. 徐行ルールが守られていない

広島中央署交通第1課の小川拓也課長は「国交省などと連携して柵を復活させたり、照明を明るくしたりといった対策を講じ、事故が起きないようにしたい。自転車の利用者にも交通ルールを周知していく」と述べ、早急な対策実施への意欲を示した。

基町地下道は広島市の中心部に位置し、多くの市民や観光客が日常的に利用する重要な通路であるだけに、効果的な安全対策の実施が急がれている。自転車利用者への啓発活動と併せて、物理的な安全設備の改善が求められる状況が続いている。