JR東海の米原電力所(滋賀県米原市)に勤務していた男性社員(当時22歳)の自死をめぐり、福岡高裁は24日、一審判決を覆し、業務が原因の労災と認定する逆転判決を言い渡した。遺族側が国に対して労災保険法に基づく遺族補償と葬祭料の不支給処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審で、松田典浩裁判長は月80~100時間を超える残業を認定し、自殺は業務起因性があると判断。国側に不支給処分の取り消しを命じた。
QC活動を残業時間に算入
判決によると、男性は2016年に入社。連続した夜勤や、業務改善提案のための社員間の自主的活動とされていた「QC活動」などにより、2017年6月中旬ごろから残業時間が月80時間を超え、同年7月下旬には月100時間を超えた。男性は遅くとも同年8月上旬ごろに適応障害を発症し、同26日に自殺した。
一審の福岡地裁判決は、QC活動を自主的・自発的参加を前提としたものであり、残業時間には当たらないとしていた。しかし高裁は、QC活動はJR東海の社員の約9割が参加するもので、業務との連続性や一体性があると指摘。若手社員は参加を事実上強制されることがあるとし、「事実上の命令の下で行われた事業活動に類する」として残業時間に認定した。
パワハラや嫌がらせも認定
さらに高裁は、上司から残業時間を実際より短く申告するよう注意されるパワハラ行為や、飲み会で先輩社員に酒をかけられる嫌がらせなどが近接して生じたことで、強い心理的負荷が認められるとした。
原告で男性の父親(58)は取材に対し、「うれしい判決。JR東海には働き方を是正してもらい、手本となるような企業になってほしい」と述べた。
被告の彦根労働基準監督署は「判決内容を確認していないため、コメントを差し控える」としている。JR東海は「訴訟の当事者ではないのでコメントする立場にはない。引き続き社員一人ひとりが安心して働ける職場環境整備に取り組んで参ります」とコメントした。



