熱海土石流訴訟で裁判官らが被災現場を視察 損害賠償請求の審理進む
熱海土石流訴訟 裁判官が被災現場を視察

熱海土石流訴訟で裁判官らが被災現場を視察 審理の重要な局面に

静岡県熱海市で2021年7月に発生した大規模土石流災害をめぐる損害賠償訴訟で、静岡地裁沼津支部の裁判官らが2月13日、被災現場を視察しました。この視察は「現地進行協議」と呼ばれる手続きで、裁判官が実際の被害状況を確認する重要な機会となりました。

裁判官らが土石流の起点と居住エリアを視察

前田英子裁判長をはじめとする3人の裁判官と、原告・被告の代理人ら約20人が参加した視察では、土石流が発生した起点と、流れ下った居住エリアの2カ所を重点的に見て回りました。一行は約2時間にわたり、被災者で原告の太田滋さん(69)らの説明を受けながら、復旧工事が進む逢初川流域の状況を詳細に確認しました。

太田さんは記者会見で、「暴力的な土石流で多くの尊い命が失われたこと、そして人々がどのように逃げ延びたのかを詳しく説明し、裁判官に理解してもらえたと確信しています」と語りました。その表情には、長年にわたる苦難と、ようやく司法の場で真実が明らかになることへの期待がにじんでいました。

原告団長が裁判官の熱心な姿勢を評価

2023年に結成された新しい原告団の団長を務める池田直樹弁護士は、「裁判官の方々は非常に熱心に質問を重ね、現場の状況を深く理解しようとする姿勢を強く感じました。この真摯な態度が、公正な審理につながることを願っています」と述べ、司法関係者の取り組みを評価しました。

視察当日の午後には、静岡地裁沼津支部で非公開の弁論準備手続きが行われ、7月17日の結審に向けた審理日程が固まりました。これにより、2026年度中に判決が言い渡される見通しが強まっています

訴訟の背景と今後の展開

この訴訟は、熱海市伊豆山地区で発生した土石流災害の遺族や被災者らが、盛り土周辺の土地の前所有者・現所有者に加え、静岡県と熱海市を相手取り、損害賠償を求めて提起したものです。災害から約5年が経過する中で、司法による事実認定が大きく前進する局面を迎えています。

被災者らは、行政や土地所有者の責任を明確にし、二度と同様の悲劇が繰り返されないことを強く求めています。今回の裁判官による現場視察は、そうした願いを司法の場で具体化する重要な一歩となりました。

今後の審理では、以下の点が焦点となると見られます:

  • 土石流発生の直接的な原因と責任の所在
  • 行政の監督責任と防災対策の適切性
  • 被災者への適正な損害賠償額の算定
  • 再発防止に向けた具体的な措置

地域社会は、司法の判断が復興と将来の安全確保にどのように寄与するか、注視しています。