南極での科学調査に積極的に取り組む29の国々が参加する「南極条約協議国会議」が、5月11日から21日までの日程で広島市で開催される。日本での開催は、1994年の京都以来、実に32年ぶりとなる。
南極条約とは
南極条約は、1961年に発効した国際条約で、核爆発の禁止や国際協力の促進を定めている。識者の間では「平和条約」とも呼ばれ、米ソ冷戦下で南極を紛争の火種とせず、平和目的に活用するために締結された。これまでに東京(1970年)や京都(1994年)で会議が開かれており、今回は3回目の日本開催となる。
主な議題
外務省によると、今回の会議では以下のような議題が中心となる見通しだ。
- 国際自然保護連合のレッドリストで「絶滅危惧種」に指定されているコウテイペンギンの保護
- 増加傾向にある南極観光への対応と規制
- 南極の環境保護に関する新たな措置
国際情勢の影響
会議の背景には、混迷を深める国際情勢がある。参加国には、米国、ロシア、英国、フランス、中国の核保有5大国に加え、ウクライナも含まれている。会議での決定は全会一致が原則であり、近年はカナダとベラルーシの参加を巡って西側諸国と中ロの間で意見が対立。関係者は「以前よりも合意形成が難しくなっている」と指摘する。
こうした中、被爆地である広島での開催は、各国の協調を促進する象徴的な場として期待されている。南極の平和利用と環境保護に向けた、実りある議論が行われることが望まれる。



