熊本県で詐欺被害が過去最悪の30億円超に 巧妙化する手口に警戒呼びかけ
熊本県内で昨年確認された詐欺の被害額が30億円を超え、過去最悪の水準に達したことが明らかになった。手口は年々巧妙化しており、県警察本部は「詐欺は身近に潜んでいる」と強い警戒感を示し、市民への注意喚起を強化している。
電話詐欺とSNS型詐欺が急増 高齢者被害が深刻
県警の発表によると、昨年1年間に確認された「電話で『お金』詐欺」の被害は計219件、被害額は約10億9900万円に上った。これは被害額、件数ともに前年の約2倍に相当する急増ぶりだ。被害者は幅広い年代に及ぶものの、半数近くが65歳以上の高齢者であり、特に警察官をかたって捜査名目で金銭を詐取する手口が多発しているという。
一方、「SNS型投資・ロマンス詐欺」の被害額は前年から約8億円増加し、約19億5800万円に達した。被害件数も前年から2倍近くに増えて196件となり、インターネットを利用した詐欺の拡大が顕著となっている。
ビジネスメール詐欺が横行 社長や首長を装う巧妙手口
昨年12月から今年にかけては、県警が「ビジネスメール詐欺」と分類する新たな手口が横行している。この詐欺では、会社の社長や病院の院長、地方自治体の首長などを装い、「新規プロジェクト対応のため、SNSでグループを作ってほしい」などと偽のメールを送信。グループ内で金銭の入金を促すという巧妙な手法が用いられている。
県内では既に数十件の相談が寄せられており、1月末までに2件の被害が確認されている。対策として、県警は以下の点を強く呼びかけている。
- 送信元のメールアドレスを細かく確認すること
- 電子署名を活用して送信者の真正性を確認すること
- メール以外の手段で送金内容を再確認すること
県警が啓発活動を強化 ワルモンも登場
県警は2月13日、熊本市中央区の肥後銀行新町支店と熊本中央郵便局で啓発活動を実施した。県警備業協会員などと協力し、計約15人が年金を受け取りに来た高齢者らを中心に、詐欺の手口が詳細に記されたチラシを配布。県警の詐欺被害対策マスコットキャラクターであるワルモンも姿を見せ、市民の関心を集めた。
県警生活安全企画課の釜賀ルミ次席は「知らない人からの電話はまず詐欺を疑うことが大切です。面識がない人にお金を渡す前には、必ず警察や家族など、誰かに相談してください」と訴えている。
詐欺被害の急増を受けて、県警は今後も継続的な啓発活動と取り締まりの強化を図る方針だ。市民一人ひとりの警戒心と迅速な相談が、被害拡大防止の鍵となるとしている。