夜の居場所ない母子に「地域の実家」を 西成のNPOがクラウドファンディングで滞在型施設開設へ
母子の夜の居場所「地域の実家」 西成NPOがクラファンで施設開設 (18.04.2026)

夜間の居場所を失う母子に「地域の実家」を提供 西成のNPOがクラウドファンディングで新施設開設へ

大阪市西成区において、15年以上にわたりこども食堂を運営してきたNPO法人「西成チャイルド・ケア・センター」が、新たな支援の形に挑戦しています。家庭の貧困やドメスティックバイオレンス(DV)など、複雑な事情を抱える母親と子どもが安心して泊まり、生活を立て直すことができる滞在型支援施設の開設を目指し、現在クラウドファンディングを実施中です。この施設は「地域の実家」としての役割を果たすことを目標としています。

児童館職員時代の経験が原点 こども食堂から支援の輪が広がる

同NPO法人の代表理事を務める川辺康子さん(60歳)は、西成区内の児童館職員として働いていた当時、昼食時間になっても家に帰らない子どもや、空腹や不安から落ち着きを失ったまま夕方を迎える子どもの姿が気にかかっていました。そんな子どもたちと共に食事を作り、食卓を囲んだ経験がきっかけとなり、2010年に「にしなり☆こども食堂」をスタートさせました。

温かい食事と安心できる居場所を提供することで、親子の表情が次第に和らいでいく変化を実感してきた川辺さんは、2020年にはマンションの一室を借りて母子が一定期間暮らせる滞在型支援に取り組み、2022年9月には子どもや親が地域とつながる場所として「にしなり★つながりの家」をオープンさせました。

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日中だけの支援では限界 夜間の安心できる居場所の必要性を痛感

しかし、マンションでの滞在型支援は家賃負担などから継続が困難であり、「つながりの家」は住宅街という立地上、宿泊を伴う支援を行うことができませんでした。日中は居場所があっても、家に戻れば夜になっても親が帰らず、子どもだけで食事や就寝の時間を過ごす家庭が存在します。朝食をとらずに登校するなど、生活のリズムを身につけられないまま育つ子どもも少なくありません。

支援が日中だけで途切れてしまうのでは、生活を根本的に立て直すことは難しいと、マンションでの滞在支援を通じて強く実感した川辺さんは、今回の新施設開設を決意しました。「にしなり♡はぐくみの家」は、生活が落ち着き、学校や地域との関係を保ちながら日常生活を送れるようになるまで、長期で滞在しながら生活を立て直すための拠点となる予定です。

「失敗しても、また帰ってきたらいい」と言える場所を目指して

川辺さんは力強く語ります。「マンションでの滞在支援では、何度も出戻りする母親や子どももいました。『失敗しても、また帰ってきたらいい』と言える場所が必要だと思うんです」。この思いを実現するため、同NPO法人は拠点となる物件を約1億3千万円で購入しました。3階建ての建物には8つの居室に加え、風呂やキッチン、リビング、学習室などが備えられる計画です。

現在実施中のクラウドファンディングでは、リフォーム費用や電化製品・家具の購入費、人件費などとして1500万円を目標に寄付を募っています。募集期間は4月30日までとなっており、詳細な問い合わせは西成チャイルド・ケア・センター(電話:06・7709・5432)まで可能です。

この取り組みは、単なる宿泊施設の提供ではなく、地域社会が支える「実家」のような安心感を母子に提供することを目指しています。生活の基盤を築き直す過程で、何度でも立ち戻ることができるセーフティネットとして、西成の地に新たな希望の灯をともそうとしています。

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