更生支援の現場で25年、九州初の女性保護司連盟会長が語る「未来を見据えた対話」の重要性
罪を犯した人々の更生を支援する保護司として、長崎県諫早市の小野由利子さん(76)は今年で四半世紀の活動歴を迎える。昨年には女性初の九州地方保護司連盟会長に就任し、その豊富な経験と深い洞察をもとに、保護司の役割や課題について語った。
保護司としての始まりと初期の経験
小野さんが保護司になったきっかけは、周囲からの強い勧めだった。当初は「犯罪をした人の更生を手助けする」という役割に戸惑い、断ろうとしたが、熱心な説得に応じて2001年から活動を開始した。「引き受けたからにはきちんと務めようと考えた」と振り返る。
最初に担当したのは暴走族の少年で、不安と緊張の中、マニュアルを読み込んで臨んだ。小野さんは「非行事実をしつこく聞かず、『立派な大人になろうね』と語りかけた」と説明。この「将来に目を向けさせる話し方」は、今も心がけている基本姿勢だという。
やりがいと成功事例
保護司としての最大の喜びは、担当した人が更生し、前向きな近況報告を聞けることだ。最初に担当した元少年は今、家庭を持ち地域活動に参加し、「先生」と声をかけてくれるようになった。
薬物事案で担当した男性は当初、威圧的な態度だったが、小野さんが敬語をやめて親しげな話し方を心がけると、次第に打ち解けた。保護観察終了後も、「真面目に働いてるから見に来て」と連絡が来るようになり、信頼関係の構築の重要性を実感した。
課題と環境の変化
再犯してしまう人もおり、その際には「自分に何が足りなかったか」と深く考えさせられる。小野さんは「最も大事なのは就労の場だが、受け入れ先の不足や本人の継続困難など様々な事情がある」と指摘する。
2024年に大津市で発生した保護司殺害事件を受け、複数担当制の導入が進んでいる。諫早地区では事件以前からこの制度を運用し、保護司の安全確保や新任者の経験向上に役立っている。しかし、なり手不足は深刻で、「高齢でも働く人が増え、保護司をする余裕がないと言われることもある」と現状を憂える。
九州地方保護司連盟会長としての抱負
小野さんは会長として、九州8県の保護司の意見を集約し、「言いにくいこと」や「言ってほしいこと」を代弁できる役割を目指す。「細かい点に気を配りながら、組織をまとめていきたい」と語る。
保護司の役割と現状
保護司は、刑務所を仮出所した人などに面会し、生活相談や就労支援を通じて立ち直りを助ける更生保護活動を行う。法相が委嘱する非常勤の国家公務員だが、給与は支給されない。担い手は元教師や神職、主婦など多様で、県内の保護司は727人(1月10日現在)いる。
小野由利子さんのプロフィール
諫早市出身で、県保護司会連合会長や諫早地区保護司会長を兼任。趣味はパッチワークで、自宅の作業部屋には着物の残り布を使った一畳分ほどの作品がある。四半世紀にわたる活動は、地域社会への深い貢献を示している。