自民党は23日、人工知能(AI)政策に関する新たな提言案を正式に取りまとめた。昨年9月に全面施行された人工知能技術研究開発活用推進法(AI法)について、罰則規定の新設を含めた悪質な事業者への対処強化を求める内容となっている。政府・与党はこれまで開発促進を優先し罰則を見送ってきたが、知的財産を侵害するAIが次々と登場する事態を受け、政策の軌道修正を迫られた形だ。
提言の背景と内容
党の会合で「AI・web3小委員会」(委員長=平将明・前デジタル相)がまとめた提言案「AIホワイトペーパー2.0」は、5月にも政府に提出される予定だ。AI法は利活用の推進とリスク対応の両立を目指し、悪質なAI事業者への調査や指導ができる規定を設けたものの、罰則は盛り込まれていなかった。しかし施行後、日本のアニメキャラクターを無断使用したり、写真を勝手に水着姿に変換する生成AIが相次いで登場し、対応が後手に回る事態となっている。
具体的な課題と対策
提言は「AI時代の課題への実効的対処手段が限られている」と指摘し、深刻な事故や被害が発生する前に法整備を進める必要性を強調。調査や指導に従わない悪質事業者に対する罰則規定の導入を含め、対処強化を検討するよう求めた。また、著作権者や知的財産の保護については、AI事業者に対して作品やキャラクターの類似物生成を防止することや、AIが学習するデータの実態を説明するよう政府が求めることを提案している。
関係者の見解
事務局長の塩崎彰久氏は会合後の取材で「罰則の検討は必ずしも規制強化とは考えていない」と述べつつ、「日本が重視するAI事業者の透明性を確保する執行力の担保は必要だ」と語った。一方で、AIの推進策については、防衛分野への活用の重要性も強調されている。
今回の提言は、AI技術の急速な進展に伴う知的財産権侵害の増加を受けたもので、政府のAI政策に大きな転換をもたらす可能性がある。今後の法整備の行方が注目される。



