核実験の「連鎖」警戒、米ロ念頭にCTBT機構事務局長が懸念表明
包括的核実験禁止条約(CTBT)機構準備委員会のフロイド事務局長は29日、米ニューヨークの国連本部で記者会見し、米国とロシアが核実験を実施する可能性を示唆する状況を踏まえ、一国が核実験に踏み切れば他の核保有国も追随する「連鎖」が発生することへの懸念を表明した。
この発言は、核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開催されている国連本部で行われた。フロイド氏は、核実験の連鎖反応が国際的な核不拡散体制に深刻な打撃を与える可能性があると警告した。
CTBTの現状と課題
CTBTは、1996年に国連総会で採択されたが、発効に必要な44の特定核技術保有国のうち、米国、中国、イラン、イスラエル、エジプトなどが批准しておらず、ロシアも2023年に批准を撤回したため、未だ発効していない。
フロイド氏は、米国、ロシア、中国がそれぞれ単独で批准を決断するのは難しいとの見方を示し、「これらの国々が共同で批准する道筋を見いだすべきだ」と強調した。また、核実験の再開は国際社会の安全保障に重大な影響を及ぼすとし、各国に対話と協力を呼びかけた。
核実験連鎖のリスク
フロイド氏は、米ロ両国が核実験の可能性をほのめかす発言をしていることに言及し、もし一国が実験を実施すれば、他の核保有国も同様の行動を取る可能性が高いと指摘。その結果、核実験の連鎖が発生し、核軍縮の取り組みが後退する恐れがあると警鐘を鳴らした。
NPT再検討会議では、核不拡散と核軍縮をめぐる議論が行われており、CTBTの早期発効も主要な議題の一つとなっている。



