渡辺努著『インフレの時代 賃金・物価・金利のゆくえ』が示す日本経済の転換点と好循環への道筋
『インフレの時代』が示す日本経済の転換点と好循環への道筋

日本経済の新たな局面を理論とデータで読み解く

渡辺努氏による新書『インフレの時代 賃金・物価・金利のゆくえ』(中公新書)が、経済学者・浅古泰史准教授(早稲田大学)によって評価された。本書は、日本が物価が持続的に上昇するインフレの時代に突入した現状を分析し、その経済的意義を深く掘り下げている。

インフレと賃金上昇がもたらす好循環の可能性

浅古准教授は、インフレが継続すると人々が予想し始めている点に注目する。これにより、企業は賃上げ分を価格に反映しやすくなり、賃金の上昇が競争を誘発して生産性向上と経済成長を促す仕組みが、経済理論と実証データによって明らかにされていると指摘する。賃金の上昇が伴うインフレは、前向きな変化として捉えられ、日本経済の活性化につながる可能性を秘めている。

30年間の「安定」からの脱却と政策運営の重要性

一方で、浅古准教授は、過去30年間にわたって物価も賃金も金利もほとんど変わらなかった日本の「異様な安定」への郷愁を捨てることの重要性を強調する。このような古いパラダイムから脱却することが、インフレの好循環を生み出す鍵だと論じている。しかし、物価を無理に抑え込む政策は、賃上げを伴わない悪いインフレを招く危険性もあり、特に石油価格高騰などの外部要因が生じる中では、柔軟で迅速な政策運営が不可欠であると示唆される。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

データ分析と経済学の面白さを伝える一冊

本書では、令和の米騒動が生じた理由やトランプ関税の効果など、具体的な事例を理論に基づくデータ分析から解き明かす部分も含まれており、謎解きミステリーとしての経済学の面白さが伝わってくる。浅古准教授は、物価をめぐる日本経済の現在地を分かりやすく示した一冊として高く評価している。価格は1320円で、経済政策やマクロ経済に関心を持つ読者にとって貴重な洞察を提供する内容となっている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ