TOTOは、半導体製造装置に使用される「静電チャック」の生産能力を2割以上引き上げる方針を明らかにした。福岡県豊前市の工場で新棟を建設しており、人工知能(AI)の普及を背景に投資を加速する。住宅設備で知られる同社だが、産業用セラミック事業は長い低迷を経て、グループ利益の半分以上を稼ぐ柱に急成長。さらなる大規模投資も視野に入れている。
事業トップが語る成長戦略
セラミック事業を統括する林良祐取締役専務執行役員が読売新聞の取材に応じた。豊前市の工場に増設中の「焼成棟」は2025年12月に着工し、27年1月完成予定。林氏は「新棟完成で現状比2割超の増産が可能になる」と述べた。セラミック事業全体では、神奈川県の研究開発部門などを含め、28年度までに約300億円を投資する計画だ。
急成長の背景
林氏は急成長の理由について、かつては価格競争に巻き込まれる消耗品セラミックを手がけていたが、2010年代に高付加価値の静電チャックに特化する方針転換したことを挙げた。さらに、2020年に増設した工場で自動化とデータ活用を進め、スマート化を実現。生産効率が向上し、現在の生産能力は増設当時の約2倍に達し、需要急拡大を取り込めたという。
増産投資の決断
「さらなる投資も検討している。半導体需要はこれまでの経験にないほど増えると見ている。製品への要求水準が上がり、材料も変化するだろう。その場合、現在の設備では対応できない可能性もある」と林氏は語る。
TOTOセラミックの強み
同社のセラミック技術は衛生陶器と基礎を同じくする。材料や調合技術では、衛生陶器部門から移った技術者が新たな提案を行うなど、知見の蓄積が強みだ。林氏は「『競争はしない』が合言葉。TOTOにしか作れない製品を追求し、成長を目指す」と強調。事業成長に伴い、従業員の士気も向上しているという。



