オリオン宇宙船、半世紀ぶりの偉業達成 地球からの最遠距離記録を塗り替える
【ヒューストン=中根圭一】有人月周回探査計画「アルテミス2」で飛行中の宇宙船「オリオン」が、歴史的な瞬間を迎えた。米東部時間6日午後1時56分頃(日本時間7日午前2時56分頃)、オリオンはアポロ13号が1970年4月に樹立した地球からの最遠距離記録を更新した。この記録は半世紀以上にわたり破られることなく保持されていたが、ついに新たなページが刻まれた。
月の裏側飛行で新記録を樹立
オリオンは6日夕(日本時間7日朝)に月の裏側を飛行する間に、月に最接近した後、地球から40万6000キロメートル以上離れた地点を通過し、新たな記録を打ち立てた。アポロ13号が月の裏側を飛行した際の記録は40万171キロメートルであり、オリオンはこれを大幅に上回る距離を達成したことになる。
宇宙船オリオンから撮影された月の写真では、クレーターが多い左側が地球からは見えない部分を示しており、この飛行の特異性を物語っている。NASAが提供した画像は、探査の進展を鮮明に伝えている。
アポロ13号の歴史的背景とオリオンの意義
アポロ13号は打ち上げから約55時間後に船内の酸素タンクが爆発し、月面着陸を中止せざるを得なかった。しかし、月の重力を利用して加速し、軌道を変えるために月の裏側を回って地球に帰還した。この緊急時の行動が、結果として地球からの最遠距離記録を生み出し、アポロ計画の7回の月面着陸ミッションの中で唯一の失敗事例ながら、歴史に名を残すこととなった。
一方、オリオンは2026年4月1日に米フロリダ州のケネディ宇宙センターからスペース・ローンチ・システム(SLS)で打ち上げられ、アルテミス2計画の一環として飛行を続けている。この記録更新は、人類の宇宙探査における新たなステップを示すものであり、月周回ミッションの成功に向けた重要なマイルストーンとなっている。
オリオンの飛行は、宇宙開発技術の進歩を象徴し、将来の有人月面着陸やさらなる深宇宙探査への道を開くものとして期待されている。科学界では、この成果が地球と月の関係を理解する上で貴重なデータを提供すると評価されている。



