京大シンポジウムで次世代放射線治療BNCTの最前線を紹介
京都大学の附置研究所・センターに所属する研究者たちが講演とパネル討論を行うシンポジウムが、15日に京都市左京区の京都大学百周年時計台記念館で開催される。今年のテーマは「知の交差点からみる自然 人間 社会」で、6名の研究者が登壇し、それぞれの研究の意義や魅力について語る予定だ。
がん細胞だけを狙い撃ちするBNCTの可能性
シンポジウムの登壇者の一人である京都大学複合原子力科学研究所の渡辺翼准教授(43歳)は、次世代の放射線治療法「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)の研究に取り組んでいる。この治療法は、がん細胞に選択的に取り込まれるホウ素を含んだ薬剤を患者に点滴投与した後、中性子線を照射するというものだ。
治療のメカニズムは、がん細胞内のホウ素が中性子線と反応する「中性子捕捉反応」を起こし、その結果発生するアルファ粒子とリチウム原子核ががん細胞を内部から破壊するというもの。従来のエックス線などを用いた放射線治療と比較して、周囲の正常な細胞をほとんど傷つけないことが最大の特徴となっている。
医師としての道のりと研究への情熱
渡辺准教授は京都大学医学部在学中、当初は小児科医を志望していたが、授業を通じてがん治療の最前線を担う放射線治療に強い関心を持つようになった。研修医を終えた後は放射線治療科に入局して研鑽を積み、大学院ではBNCT研究に本格的に取り組むようになる。
さらに2年間のドイツ留学を経験し、放射線治療に関する国際的な視野を広げた。現在は京都大学複合原子力科学研究所で准教授として研究を続けながら、次世代のがん治療法の開発に情熱を注いでいる。
現状の課題と今後の展望
現在、BNCTが保険診療として認められているのは、鼻や口など首から上に発生する「頭頸部がん」に限られている。これは、治療に用いる中性子線のエネルギーを低く抑える必要があるため、体の深部にある腫瘍には届きにくいという技術的な課題によるものだ。
渡辺准教授の研究チームはこの課題を克服するため、より多くのホウ素をがん細胞に集積させる新たな薬剤の開発に力を入れている。研究過程では仮説通りの結果が出ないことも多いが、予想外の発見や新たな研究アイデアが生まれる瞬間に大きなやりがいを感じるという。
「BNCTでより多くの種類のがんを治療できるようにするため、今後も技術の発展に貢献したい」と渡辺准教授は語り、難治性がんの克服に向けた決意を表明した。
シンポジウムの詳細情報
シンポジウムは15日(日曜日)午前10時から午後5時まで開催され、入場は無料。現地参加(定員500名)とオンライン参加(定員1000名)の両方が用意されており、いずれも先着順での受け付けとなる。
参加申し込みは以下の方法で受け付けている:
- ウェブサイト、ファクス、はがきのいずれかで申し込む
- 必要事項:氏名、住所、連絡先、年齢
- 送付先:〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町53 京都大学研究連携基盤・基盤企画室
- 問い合わせ先:電話 075-366-7113、ファクス 075-366-7114
プログラムはやむを得ない事情により変更される可能性がある。このシンポジウムは京都大学研究連携基盤が主催し、府教育委員会、京都市教育委員会、読売新聞社が後援している。



