群馬・草津白根山で遠隔ドローン火山監視が本格化、防災の未来を変える可能性
草津白根山で遠隔ドローン火山監視、防災の未来を変える

遠隔ドローンが火山監視の新時代を切り開く

活動が活発化している群馬県の草津白根山で、遠隔操作のドローンを活用した火山活動の監視が本格的に始まりました。東京科学大学が独自に開発したシステムによる試験運用が進められており、既に具体的な成果が報告されています。

都内から操作可能な革新的な監視システム

このシステムの最大の特徴は、東京都内のキャンパスから直接ドローンを操作できる点にあります。草津白根山の火口湖「湯釜」から約1キロ離れた場所に設置された格納庫(ドック)に待機するドローンは、インターネットを介した指示を受けると自動的に飛行コースを進み、火山周辺の状況を詳細に撮影します。

ネット接続さえ確保できれば、操作場所を選ばない柔軟性が大きな利点です。出張先からでも監視活動を継続できるため、研究者の負担軽減と迅速な対応が可能になりました。

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安全性を最優先した運用体制

東京科学大学の寺田暁彦准教授は、東京都目黒区のキャンパスからドローンの操作を実演しました。パソコン画面には、ドック周辺の遠隔カメラ映像が映し出され、「周囲に人がいないことを確かめてから飛行を開始します」と安全性の確認を徹底しています。

安全確認後、キー操作によってドックが開き、ドローンのプロペラが凍結していないかなどを確認。異常がなければ発進指令が出され、機体は勢いよく上昇します。衛星通信を通じて送られてくるリアルタイムの動画には、真上から見下ろしたドックや隣接する本白根山の様子が鮮明に映し出されました。

自動飛行による効率的な観測

基本的な操縦は必要なく、事前に設定されたコースに沿って自動飛行します。1回の飛行距離は約3キロ、時間は7~8分程度です。気になる地点があれば、パソコンから手動で接近操作することも可能で、観測の柔軟性を確保しています。

ただし、天候条件には注意が必要です。寺田准教授は「上空の風が強い日は湯釜への接近を控える判断も重要です」と述べ、安全性を最優先する姿勢を示しました。

具体的な観測成果が続々

東京科学大学では昨年9月から本格的な運用を開始し、12月中旬までに約80回の飛行を実施。積雪による一時休止を経て、今年2月に飛行を再開し、3月末までにさらに10回の観測を行いました。

特に注目すべき成果は、湯釜の湖水の一部が灰色に変色していることを発見した点です。ほぼ毎日の観測が可能になったため、湖面の変化を継続的に追跡でき、変色範囲の広がりと火山の地下で発生する地震や地殻変動との相関関係が浮かび上がってきました。

寺田准教授は「活動の活発化に伴い、湯釜の底から熱水が盛んに噴出していた可能性があります。ドローンによる高頻度観測が、こうした微妙な変化を捉えることを可能にしました」と説明しています。

防災現場での実用化が目前

ドローンの観測データは既に気象庁に提供され、毎月の火山活動評価の検討材料として活用されています。寺田准教授は「ほぼ実用に近い状況が整ってきた」と評価しており、撮影した動画を遠隔地の研究者と共有したり、プロジェクターで投影して専門家同士の議論に活用したりする試みも進められています。

噴火発生時には、ドローンが即時飛行し、人が立ち入れない危険区域の状況を迅速に把握できる点が、防災対応の大きな強みとなります。

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今後の展望と課題

現在、草津白根山は「噴火警戒レベル2」の状態にあり、火口付近への立ち入りが禁止されているため、無人の遠隔操作飛行が許可されています。気象庁もドローンの活用を推進する方針で、本年度中に全国の火山監視・警報センターへの配備を計画しています。

研究面では、火山ガスの成分分析への応用が期待されています。東京大学と共同で、二酸化硫黄の量を測定する装置を搭載したドローンの改造を進めており、噴火メカニズムの解明に貢献する強力な手段としての発展が予想されます。

ただし、航空法に基づく厳格な規制や、強風時の電力消費など技術的な課題も残されています。それでも、ドローン火山監視は、従来の手法を大きく変える可能性を秘めた画期的な試みとして、防災と火山研究の新たな標準となる日が近づいています。