福岡市教育委員会は2026年6月から、市立小中学校と特別支援学校の全228校に所属する全ての教員を対象とした生成AI(人工知能)活用研修を開始した。この取り組みは、AI技術を教育現場に導入することで授業の質を高め、教員の業務負担を軽減することを目的としている。
研修の背景と目的
市教委が実施したアンケート調査によると、校務などで生成AIを活用していると回答した教員は全体の1~2割にとどまっている。この現状を踏まえ、市教委は生成AIの活用によって教員の授業準備や事務作業の負担を軽減し、長時間労働の是正につなげるため、研修の開催を決定した。今年度の当初予算には約970万円が計上され、6月から約30回に分けて研修が実施される予定だ。
初回研修の内容
5日に福岡市博多区の市立席田小学校で行われた初回の研修には、同校の教員約20人が参加した。研修では、市から委託を受けたIT企業の社員が講師を務め、生成AIの基本操作や学校現場での活用事例が紹介された。参加者は米グーグルの生成AIサービス「ジェミニ」を使用し、効率的なAIへの指示の出し方を学んだ。具体的には、保護者向けの文書作成やイラスト入りのポスター制作を体験し、AIを活用した業務効率化の実際を体感した。
注意点とリスク教育
研修では、生成AIの利便性だけでなく、リスクについても重点的に説明が行われた。講師は、AIが生成する情報には著作権を侵害する内容が含まれる可能性や、個人情報が外部に流出するリスクがあることを指摘。教員らは、AIを活用する際の注意点を学び、安全な利用方法について理解を深めた。
参加者の声
研修に参加した江田謙作主幹教諭は、「これまで時間をかけて作成していた文章や資料のたたき台が短時間で完成し、ぜひ活用していきたいと感じた。業務効率化で生まれた時間を、授業の質の向上に充てたい」と話し、AI活用への期待を表明した。
今後の展望
市教委学校企画課の石橋剛克課長は、「子どもたちが生まれながらにデジタルに囲まれている時代、教育の中でも生成AIは重要だ」と強調。その上で、「今回の研修は教員がAIを学ぶ第一歩。教員が使いこなせるようになり、最終的には子どもたち自身がAIを活用して自分の学びを創造できるようにしていきたい」と述べ、長期的なビジョンを示した。
福岡市教委は、この研修を通じて教員のAIリテラシーを高め、教育現場のデジタル化を推進する方針だ。



