愛知県幸田町の郷土資料館建て替え計画を巡り、財源確保が大きな課題となっている。成瀬敦町長は昨年12月の町議会定例会で「私の存在価値は大型事業の推進だ」と述べ、3期目への意欲を示した。しかし、町内には長年計画が持ち上がりながらも実現に至っていない大型事業が山積しており、リーダーの手腕が問われている。
建て替え計画の現状
2027年3月に開館50年を迎える町郷土資料館(深溝)は、老朽化を理由に2021年から建て替えの検討が始まった。2024年度には「新博物館」の基本計画が公表され、町民会館などが入るハッピネス・ヒル・幸田(大草)に、現資料館の約10倍の延べ床面積で整備し、資料収蔵や研究拠点としての機能を強化する構想が示された。
しかし、計画策定から2年が経過した現在も、具体的な設計や着工の動きは見られない。議会からも指摘があり、町側は「算出した概算建設費が膨大で、資金確保の方法を検討したい」と釈明している。町幹部は「建設費に20億円は見ておかないといけないのに、計画だけが先にできてしまった状態だ」と明かす。
山積する大型事業
町長が議会で言及しただけでも、菱池遊水地の上部利用、道の駅「筆柿の里・幸田」周辺の開発、総合体育館建設など、多くの大型事業が待ち受けている。国や県の補助金を活用しながら進める方針だが、すべてを実現するには町の財政に重い負担がのしかかる。
財源の現状
財源となる基金の残高は厳しい状況だ。貯金に当たる財政調整基金は10億円で、町が安定の目安としてきた30億円を大きく下回る。新博物館に充てるはずの教育施設整備基金も4億8千万円と低調だ。別の町幹部は「もとの財布の大きさが小さいところに、人件費や扶助費で支出も増え、基金に回すのも厳しい」と語る。
町長自身も、3月25日の出馬表明後の会見で「財政との両立を考えれば、建設事業費がかさばるものについては、断念せざるを得ないこともある」と慎重な姿勢を示した。
今後の展望
西三河の周辺市に比べて小規模ながら、豊富な税収と人口増加に恵まれてきた幸田町。しかし、物価高騰に加え、人口減少が目前に迫る中、身の丈に合った事業計画を立てなければ、将来的に財政を圧迫する恐れがある。町長選を前に、町の課題が浮き彫りとなっている。



