ミラノ五輪でウクライナ選手が戦没アスリート追悼ヘルメット、IOCは着用禁止の方針
ウクライナ選手の追悼ヘルメット、IOCが五輪で着用禁止

ウクライナ選手が戦没アスリートを追悼するヘルメットを着用、IOCが着用禁止の方針

2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピックのスケルトン男子競技に出場するウクライナ代表選手が、ロシアの侵略によって命を落としたアスリートの写真をあしらったヘルメットを着用して練習に臨み、国際的な注目を集めている。国際オリンピック委員会(IOC)はこの行動を規則違反として警告し、12日に始まる本番競技での着用を認めない方針を示した。

ヘラスケビッチ選手の追悼の意図とIOCの対応

ウラジスラフ・ヘラスケビッチ選手(27歳)は9日、イタリアのコルティナダンペッツォで行われた公式練習において、侵略の犠牲となった重量挙げやボクシング、アイスホッケーなど複数の選手の写真をデザインしたヘルメットを着用した。ヘラスケビッチ選手は「追悼の意を示すことは非常に重要だ」と述べ、このヘルメットと共に競技に参加する意向を明らかにしていた。

一方、IOCは練習後にヘラスケビッチ選手に対し、「会場でのデモやプロパガンダ(政治宣伝)を禁止する五輪憲章に違反する」として警告を発した。これにより、競技本番でのヘルメット着用は困難な状況となっている。

ゼレンスキー大統領の支持と国際的な反響

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はソーシャルメディアに投稿し、「まさにこれが五輪の歴史的使命だ。我々の闘いの価値を世界に示してくれたことに感謝する」と述べ、選手の行動を支持する姿勢を示した。この発言は、ウクライナにおける戦争の影響がスポーツの場にも及んでいることを浮き彫りにしている。

この出来事は、オリンピックが政治的な表現の場となるべきかどうかという長年の議論を再燃させた。IOCは従来から、五輪憲章第50条に基づき、競技会場での政治的デモンストレーションを禁止しており、今回の対応もその一環と見られている。

背景と今後の展開

ロシアによるウクライナ侵略は、多くのアスリートの命を奪い、スポーツ界に深い傷を残している。ヘラスケビッチ選手のヘルメットは、そうした犠牲を記憶に留め、国際社会に訴えかける手段として意図されていた。

今後の展開としては、以下の点が注目される。

  • ヘラスケビッチ選手がIOCの警告を受け入れ、別のヘルメットを着用する可能性。
  • ウクライナオリンピック委員会がIOCに対し、正式な抗議や交渉を行うかどうか。
  • 他のウクライナ代表選手が同様の追悼表現を行う動きが出るかどうか。

この事件は、スポーツと政治の複雑な関係を改めて問いかけるものとなっており、ミラノ・コルティナ五輪におけるさらなる議論を呼ぶ可能性が高い。