リニア南アルプストンネル工事、JR東海の生態系保全計画が「現時点で妥当」と評価される
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事を巡り、静岡市は21日、有識者らで構成する市の協議会を開催しました。この会合において、JR東海が推進する生態系保全の計画について、「現時点で妥当」との評価が下されました。この協議会は設置から11年を経て一区切りとなり、今後は新たな体制へと移行することが決定されました。
新体制への移行と環境モニタリングの強化
協議会では、JR東海の担当者が希少生物への対応策などを詳細に説明し、了承を得ました。議題として上がった新体制は、既存の市環境影響評価審査会内に設置される「中央新幹線部会」(仮称)です。静岡市は、この新体制を実現するために必要な条例改正案を、市議会の6月定例会に提出する方針を明らかにしました。
JR東海は環境保全措置として、生物の生息場を新たに創出するなどの具体的な方針を示しています。新設される部会は、同社が実施する環境モニタリング調査の結果を評価し、必要に応じて対策を見直す役割を担うことになります。これにより、計画の柔軟な見直しが可能となる仕組みが整えられました。
南アルプスネイチャーポジティブ実行委員会の設置と具体的な保全活動
さらに、南アルプスに生息するヤマトイワナの保全や、希少な高山植物へのシカの食害を防止するための柵の設置などを実施する「南アルプスネイチャーポジティブ実行委員会」を設置する方針も決定されました。この委員会は、静岡市や県、JR東海などで組織され、2026年度に実行計画を策定し、2027年度から本格的な事業を開始する予定です。
静岡市は、ヤマトイワナの保全に関する条例の制定も検討しており、生態系保護への取り組みをより強固なものにしようとしています。これらの措置は、工事が環境に与える影響を最小限に抑え、持続可能な開発を目指す姿勢を示しています。
市長の評価と今後の展望
難波喬司市長は会合後の取材に対し、「JR東海が当初立てた計画を単に実行するのではなく、モニタリングを通じてデータを継続的に評価し、必要な対策を柔軟に変更していくという点が重要です。これは非常に良い形で進展したと考えています」と述べ、新体制を高く評価しました。
リニア工事を巡っては、3月下旬に静岡県とJR東海の間で、生態系などの課題に関する議論が完了しています。これにより、工事と環境保全の両立に向けた枠組みがさらに明確になりました。今後は、新たな部会によるモニタリング評価が本格化し、生態系保全の実効性が問われることになります。
この評価は、大規模インフラ事業と環境保護のバランスを図る上で、重要な一歩となるでしょう。関係者は、持続可能な開発を実現するため、継続的な監視と改善に努めていく方針です。



