NEC執行役員・帯刀繭子氏、30代の「成長痛」に立ち向かう原点回帰の重要性を語る
NECコーポレートのシニアバイスプレジデントを務める帯刀繭子氏(57)は、同社の生え抜き女性社員として初めて執行役員に就任した経歴を持つ。3月8日の「国際女性デー」を前に、帯刀氏は30代の女性たちに向けて、キャリア形成における貴重なアドバイスを共有した。
海外営業での厳しい経験が礎に
帯刀氏は、父の仕事の関係で10歳から17歳まで米国で生活し、帰国後、日本のサービスの質の高さに感銘を受けた。この経験から、日本の技術産業を支える企業で働くことを志し、海底ケーブルなどの重要インフラを担うNECに入社した。当時は女性のキャリア事例が少ない時代だったが、大学生時に出会った女性人事部長の「10年、20年と腰を据えてキャリアを磨ける会社」という言葉に惹かれ、同社を選択した。
入社1年目から海外営業に配属され、20年以上にわたり世界中を飛び回った。特に忘れられないのは、入社2年目に香港の取引先で技術トラブルの謝罪に赴いた際の出来事だ。取引先から「あなたはどう責任を取るのか」と問い詰められ、自身の役割と責任の重さを痛感したという。この経験を通じ、女性や若さに関わらず、役割を果たすことの重要性を学んだ。
チーム改革と経営企画での新たな挑戦
30代半ばには、営業職にやり尽くした感覚から転職も考えたが、「本当にやり切ったのか」と自問した。その結果、個人の能力に依存する営業体制の限界に気づき、同僚と情報を共有し地域全体で戦略を立てるボトムアップ改革を提案。上司の支持を得て、チーム体制の変革に成功した。
40代半ばでは、未経験の経営企画本部に異動し、ゼロからの出発を経験した。社内の様々な分野の人々に話を聞きながら、会社全体の仕組み構築に取り組んだが、その難しさに落ち込むこともあった。そんな時、常に立ち返ったのは入社時の原点、「日本のサービスや技術の素晴らしさを発信する」という思いだった。
揺れ動く時代にぶれない原点を持つこと
帯刀氏は、オンライン化が進む現代では、かつてのような世界中を飛び回る仕事は減少し、キャリアの不確実性が高まっていると指摘する。それゆえに、ぶれない自分の原点を持つことが重要だと強調する。30代は「成長痛」を抱えがちだが、自分がよって立つところがあれば、どんなに揺れ動いても落ち着きを見出せると語る。
取材後記では、帯刀氏のポーランドでのエピソードが紹介されている。テレビ送信機の納入時に取引先から「テレビも見られるし、パンも自由に買えるようになった」と声をかけられ、通信技術が生活に不可欠なものだと再認識したという。航空会社の総飛行距離が地球約60周分にも及ぶなど、ダイナミックな経験を持つが、ITの進展で仕事の形は変化していると述べる。成果や評価にとらわれない姿勢と、「焦らないで」というメッセージが読者に勇気を与える内容となっている。



