賃金上昇の世代間格差が深刻化 20代は4~5%増なのに50代は1%未満
賃金上昇の世代間格差 20代増加も50代伸び悩み (14.03.2026)

若手と中高年の賃金上昇に大きな差 人手不足が格差を拡大

近年の賃上げの動きが広がる中で、世代間の賃金上昇率に顕著なばらつきが生じており、新たな社会課題として浮上しています。特に20代と50代の間でその傾向が象徴的に表れており、若手の賃金が大きく伸びる一方で、中高年層の伸び悩みが深刻化しています。

厚生労働省の統計が示す明確な格差

厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査(速報)」によると、2025年の大卒20代(20~24歳と25~29歳)の賃金上昇率は前年比で4~5%台の伸びを示しました。一方、大卒50代(50~54歳と55~59歳)の上昇率は1%未満に留まっています。

さらに、2024年のデータを2020年と比較した場合、就職期にあたる20~24歳の賃金は男性で9.8%増、女性で10.5%増と大幅な上昇を記録しています。これに対し、50~54歳では男性が0.9%減、女性が0.2%減と、むしろ減少傾向にあることが明らかになりました。

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専門家が指摘する構造的要因

第一生命経済研究所の熊野英生氏はこの現象について、「若手労働者は転職活動が活発であり、労働需給の逼迫、つまり人手不足の影響が直接的に賃金上昇に反映されやすい状況にあります」と分析しています。

「一方で、50~54歳の就職氷河期世代は転職機会が少なく、このことが世代間の賃金格差を生み出す要因となっています。氷河期世代の労働移動がより活発になるような環境整備が急務です」と熊野氏は指摘します。

働き手の実感にも表れる格差

連合総研が2025年12月に公表した「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート」では、賃上げと物価高の受け止め方に関する調査結果が示されています。

1年前と比較した賃金の増加幅が物価上昇幅より「大きい」と回答した比率は、20代では1割に達しましたが、50代ではその半分の水準に留まりました。逆に「小さい」と答えた比率は20代で5割、50代では7割に上り、世代による実感の差が明確に表れています。

漫画家・辛酸なめ子氏の視点

漫画家でコラムニストの辛酸なめ子氏は、この問題について「伸び率の棒グラフでマイナスに落ち込んでいる世代です。伸び代が全くないどころか、ゴムが切れたままになっているような状態です」と表現しています。

「経済的な豊かさも心の豊かさも二十代に負けています。少し上のバブル世代に圧倒されて若い頃から豊かさを感じにくいというのも背景にあるでしょう」と辛酸氏は続け、心理的な側面からもこの格差を考察しています。

今後の課題と展望

このような賃金上昇の世代間格差は、単なる経済的な問題にとどまらず、社会全体の活力や公平性にも影響を及ぼす可能性があります。特に就職氷河期世代の労働環境改善は、持続可能な社会を構築する上で重要な課題となっています。

企業や政府には、年齢を問わず全ての労働者が適切な賃金上昇を実感できるような政策や制度設計が求められています。労働市場の流動性を高めつつ、各世代が公平に成長の恩恵を受けられる社会の実現が期待されます。

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