職種限定合意を無視した配置転換で精神疾患に、滋賀県社協が2000万円解決金支払いへ
配置転換で精神疾患、滋賀県社協が2000万円解決金支払い (04.03.2026)

職種限定合意を無視した配置転換で精神疾患に、滋賀県社協が2000万円解決金支払いへ

職種限定の合意があったにもかかわらず、同意なく配置転換を命じられ精神疾患を発症した男性が、滋賀県社会福祉協議会を相手取って起こした訴訟が、大阪高等裁判所で和解により解決しました。2月25日付の和解内容では、双方が昨年3月末の定年退職扱いとすることを確認し、同協議会が解決金2000万円を支払うことが定められています。

技術職から総務課への突然の配転命令

訴状などによると、男性は2001年以降、福祉用具の製作などを行う技術職として滋賀県社会福祉協議会に勤務を開始しました。しかし2019年、事前の打診もないまま、突然総務課への配置転換を命じられたのです。男性はその後、精神疾患と診断され、休職に追い込まれました。同協議会は2022年2月、休職期間の満了に伴い、男性を退職扱いとすることを通知しました。

男性側は、経験のない事務職への配置転換は大きな心理的負荷があり、職務内容を限定する合意に反する違法な行為だと主張していました。男性は「雇用の継続のために配置転換を提案したことは著しく不合理とは言えない」として請求を棄却した2025年1月の一審・京都地裁判決を不服として控訴していました。

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最高裁の初判断と関連訴訟の経緯

この配置転換を巡っては、男性側が慰謝料などを求めた別の訴訟も存在していました。2024年4月、最高裁判所は「職種や業務内容を限定する合意がある場合、使用者は労働者の同意なく配置転換を命じることはできない」との初めての判断を示しました。この判決を受けて、2025年1月の大阪高裁差し戻し控訴審判決では、同協議会に対し88万円の支払いを命じています。

3月3日、男性は京都市内で記者会見を開き、「実質的勝訴で和解できたと捉えている。長期にわたって苦しめられたので、反省と謝罪の気持ちを持ってほしい」と述べました。一方、滋賀県社会福祉協議会は「早期かつ円満で全面的な解決のため、和解した」とのコメントを発表しています。

労働契約における合意の重要性

この事件は、労働契約における職種限定の合意の重要性を浮き彫りにしました。使用者が一方的に配置転換を命じることの限界を示した最高裁判決は、今後の労働紛争において重要な先例となるでしょう。また、精神疾患を発症するほどの心理的負荷が労働環境に存在したことから、職場のメンタルヘルス対策の必要性も改めて問われる結果となりました。

2000万円という解決金の額は、この事件の重大性を物語っています。労働者の権利保護と、雇用主の経営判断のバランスが今後どのように調整されていくのか、注目が集まっています。

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