建設アスベスト給付金「不認定」一転、国が謝罪と1035万円支払いで和解成立
アスベスト給付金「不認定」一転、国が謝罪と1035万円支払い

建設アスベスト被害者への給付金「不認定」が一転、国が謝罪と全額支払いで和解成立

建設現場でアスベスト(石綿)を吸った被害者らを救済する「建設石綿給付金」の不支給決定をめぐり、元トラック運転手の男性(83)が国に賠償を求めた訴訟で、2026年2月27日、大阪地裁において和解が成立しました。国は男性に対して謝罪を行うとともに、給付が認められた場合の全額に相当する1035万円を支払うことで合意に至りました。

「総合的に勘案」のわずか7行通知から一転した国の対応

原告の男性は、1970年から2001年にかけて、戸建て住宅やマンション建設で使用される石綿建材の運送業務、ならびに廃材の搬出作業に従事していました。その結果、2020年に肺がんを発症。石綿の粉じんを吸引した状況を記した陳述書や建材の搬入先リスト、当時現場にいた大工らの証言など、複数の証拠を提出して給付を申請しました。

しかし、2025年1月、国からは具体的な理由が示されないまま、「総合的に勘案」とのみ記載されたわずか7行の通知により、給付金の不支給が決定されました。この判断に対し、男性は同年6月に提訴。訴訟の過程で、国側が態度を一転させ、今回の和解に至ったのです。

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制度発足以降初の和解事例、今後の被害救済に影響も

原告弁護団によれば、国がアスベスト規制を怠った責任を認めた最高裁判決を受けて、2022年に創設された給付金制度において、不支給決定をめぐる訴訟で和解が明らかになるのは今回が初めての事例となります。

この和解は、単に個別の事例が解決しただけでなく、同様に給付金の不認定に苦しむ他の被害者たちの救済手続きにも、少なからぬ影響を与える可能性があります。国が訴訟の中で謝罪と賠償に応じた背景には、提出された証拠の説得力が認められたこと、そして最高裁判決の趣旨を重く見たことが考えられるでしょう。

長年にわたる労働環境と健康被害の実態

男性が従事していた建設業界では、アスベストが耐火性や断熱性に優れた素材として広く使用されていました。しかし、その粉じんを長期にわたって吸引することは、肺がんや中皮腫などの重篤な疾病を引き起こすことが医学的に明らかとなっています。

今回の和解は、そうした危険性が十分に認知されていなかった時代に、現場で働き続けた労働者たちが払った代償の大きさを改めて浮き彫りにしました。同時に、国が講じるべき安全対策や健康被害への補償の在り方について、社会全体で考えるきっかけとなるでしょう。

今後、同様の給付金申請却下事例において、国がより迅速かつ適切な対応を行うことが期待されます。また、アスベスト被害の全容解明と、未だ救済の手が届いていない可能性のある被害者への支援拡充が、引き続き重要な課題として残されています。

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