奨学金金利急騰、卒業年4年の差で返済総額78万円増の衝撃
奨学金金利急騰、卒業年差で返済額78万円増 (14.02.2026)

奨学金金利が急上昇、卒業年次で返済額に最大78万円の差

日本学生支援機構の奨学金金利が急激に上昇しており、卒業年がわずか4年違うだけで、返済総額に最大78万円もの差が生じる事態が明らかになった。金融政策の見直しによる「金利ある世界」の影響が、学生生活にも深刻な影を落としている。

三種類の奨学金と利用実態

同機構によると、奨学金は大きく三種類に分類される。返済不要の給付型、利子のない貸与型(第1種)、そして利子のある貸与型(第2種)だ。特に学力や家計の基準が比較的緩やかな第2種奨学金の利用者が多く、2024年度では62万人にのぼる。貸与額は月2万円から12万円の範囲で、最長20年間かけて返済する仕組みとなっている。

金利上昇の具体的な数値

長年にわたり日本銀行の金融緩和策により低水準を維持してきた奨学金金利は、政策見直しの影響を受け、2023年頃から急激な上昇傾向を示している。返済期間中の金利が変わらない「利率固定方式」で見ると、2022年3月時点では約0.4%だった金利が、2025年3月には約1.6%に上昇。さらに直近の2026年1月時点では約2.5%まで跳ね上がった。この急騰は、卒業時など貸与終了時の金利が適用される制度において、大きな負担差を生み出している。

卒業年次による返済額の比較

仮に金利が2026年1月時点の水準で横ばいとなった場合、2026年3月に卒業する学生は、わずか4年前の2022年3月卒業生と比較して、適用金利が約6倍にも膨らむ計算だ。具体的な数字で見ると、大学学部生が借りる利子付き奨学金の平均額は336万円。この金額を基に機構の返還額シミュレーションで試算すると、以下のような結果となる。

  • 2026年1月時点の金利(約2.5%):返済総額427万円
  • 2022年3月時点の金利(約0.4%):返済総額349万円

この計算によれば、卒業年次が4年異なるだけで、返済総額に78万円もの差が生じることになる。利率固定方式を選択する学生は約6割にのぼり、多くの卒業生が金利上昇の直接的な影響を受ける構図だ。

専門家の指摘と制度的課題

NPO法人POSSE代表理事の岩本菜々氏は、日本の奨学金制度について「入口は奨学金、出口は金融」と表現する。借りる際の事前審査がなく教育支援を目的とした制度であるにもかかわらず、返済段階では救済策が極めて限定的である点を指摘。本人の死亡や労働不能など極端な場合を除き、返済免除のハードルが高い現状に警鐘を鳴らしている。

金利上昇は単なる数字の変化ではなく、学生の将来設計に直結する重大な問題だ。長期金利の動向が「経済の体温計」と呼ばれる中、その変動が奨学金を通じて若年層の経済負担に直接反映されるメカニズムが、改めて浮き彫りとなった。