JR紀勢線の特急「くろしお」増便期間を延長、年間を通じた効果検証へ
JR西日本和歌山支社は、利用客の減少が深刻な紀勢線の新宮―白浜間について、昨年11月に開始した特急「くろしお」の増便期間を来年2月25日まで延長すると発表しました。当初は今年3月末までの予定でしたが、増便した3か月間(昨年11月~今年1月)の乗客数に大きな伸びがみられなかったため、年間を通じて効果を検証したい考えです。
赤字解消に向けた実証実験の延長
同区間の赤字は2022~24年度平均で31億2000万円にのぼります。1日の1キロ・メートルあたりの平均利用者数(輸送密度)を増やすため、まず利用者の多い特急の乗車人員からてこ入れを図ろうと、JR西は同区間を走るくろしおについて、月~木曜で5往復から6往復に増やす実証実験を実施していました。
同支社によると、昨年11月の特急乗車人員は前年同期と比べ、1日あたり60人増えた一方、12月は4人増、今年1月は3人増にとどまったということです。この結果を受けて、増便期間の延長が決定されました。
季節を問わず効果を検証
和歌山市内で今月9日に記者会見した礒川健太郎副支社長は、冬の寒さが観光に影響して利用が少なかった可能性に言及しました。「特定の季節だけでは(効果は)判断しがたい。観光PRと合わせ、色んな季節でどれだけ伸ばせるかを検証したい」と述べ、増便期間を延長する狙いを説明しました。
この方針は、単に短期的な乗客増加を目指すのではなく、年間を通じた持続可能な利用促進を図ることを目的としています。観光需要が高まる季節だけでなく、通年での利用パターンを分析することで、より効果的な対策を検討する材料とします。
乗り放題券の販売も開始
JR西日本和歌山支社は、紀勢線の新宮―白浜間で、特急「くろしお」が1か月間乗り放題になる「紀南くろしお乗り放題特急券」の販売を今月18日から始めました。2027年1月31日まで販売を予定しています。
主に通勤、通学での利用を想定しており、利用は購入翌月の1日から末日までです。料金は大人1人1万7000円で、新宮、紀伊勝浦、串本、白浜各駅の「みどりの券売機」で購入できます。ゴールデンウィーク(5月2日~6日)などを除いて利用可能ですが、乗車には別途、乗車券が必要になります。
この乗り放題券は、定期利用者の増加を促すことで、安定した収益基盤の構築を目指す取り組みの一環です。地域住民の日常的な移動手段としての利便性向上にもつながることが期待されています。
紀勢線は、和歌山県の沿岸部を結ぶ重要な交通手段であり、観光資源が豊富な地域をカバーしています。今回の増便期間延長と乗り放題券の導入は、地域経済の活性化や観光振興にも寄与する可能性があります。JR西日本和歌山支社は、これらの施策を通じて、利用客の減少に歯止めをかけ、持続可能な運行体制の確立を目指します。



