成田空港滑走路増設で強制収用検討へ NAA社長が国交相に意向伝達
成田空港滑走路増設で強制収用検討へ

成田空港滑走路増設計画で強制収用の検討開始

成田国際空港(千葉県)における滑走路の新増設に向けて、必要な用地の取得が思うように進まない状況を受け、空港運営会社「成田国際空港会社」(NAA)の藤井直樹社長は2026年4月2日、土地収用法に基づく「強制収用」の手続きを検討する方針を明らかにしました。同日、金子恭之国土交通大臣と面会し、その意向を直接伝えました。NAAのトップが強制収用の可能性を明言したのは今回が初めてのことです。

用地取得の厳しい現状と国交相の指示

藤井社長は面会の中で、用地確保に向けた努力を継続しながらも、「土地収用制度の活用も必要と考えており、関係者との調整を開始させたい」と説明しました。これに対して金子国交相は、「収用制度の活用が必要な状況に至っていることは理解するが、地元のご理解を丁寧に得ること」と指示を出しました。また、当初目標としていた2029年3月の全面供用開始は困難であり、延期となる見通しも伝えられました。

具体的な計画としては、増設するB滑走路については2029年度内の供用開始を目指していますが、新設するC滑走路に関しては延期期間が明らかにされていません。藤井社長は面会後の取材に対し、これまで400回以上の住民説明会を実施するなど、「他の公共事業と同様な、あるいはそれに学びつつ丁寧な対応をしてきた」と述べ、今後も任意の用地取得交渉を進めつつ、「あらゆる手段を尽くし、一刻も早い土地の取得と新たな滑走路の整備に向けて努力する」と強調しました。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

滑走路増設計画の詳細と用地確保の課題

「機能強化」と位置付けられる成田空港の滑走路新増設計画は、以下の内容で進められています。

  • B滑走路(2500メートル)を北側に1000メートル延長
  • その南側に3本目となるC滑走路(3500メートル)を新設
  • 年間発着枠を34万回から50万回に増加

本体工事は2025年5月から開始されており、供用開始は当初2029年3月を目標としていました。しかし、機能強化には新たに1099ヘクタールの用地が必要で、そのうち民有地743ヘクタールの取得が課題となっています。2025年度末を目標としていた用地確保ですが、2026年3月末時点での確保率は89.7%と低迷しており、藤井社長はこれまで「極めて厳しい状況」との認識を示していました。

歴史的な経緯と現在の状況

成田空港では開港前の1970年代、建設用地の強制収用を巡り、反対派と警察が衝突して死傷者が出る「成田闘争」が発生しました。この際、国側は強引な手法を謝罪し、収用裁決の申請を取り下げた経緯があります。興味深いことに、今回はかつての反対派からも収用の検討を求める声が上がっていると報じられています。

強制収用の手続きには二段階のプロセスが必要とされ、NAAが検討している方法は、公共事業の円滑な推進と地権者保護のバランスが求められる難しい課題です。空港運営会社と国土交通省は、過去の教訓を踏まえつつ、国際競争力の強化と地域との共生を両立させる方策を模索しています。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ