北海道新幹線札幌延伸、38年度以降に延期 水素車両構想やLRT整備の声も高まる
2026年4月4日 6時45分 佐藤亜季
再開発が進む札幌駅前。2026年3月13日、札幌市。
「この先工事のため通路がせまくなっています」
札幌市営地下鉄南北線さっぽろ駅では、こうしたアナウンスが頻繁に流れている。構内では北海道新幹線の札幌延伸に向けたホームの増設工事が進行中だ。工事の影響で分かりにくくなっている通路や改札口を示すため、あちこちに案内看板が掲げられている。
南北線最大の混雑駅で新ホーム増設
南北線さっぽろ駅の1日あたりの平均乗車人員は約5万2千人(2024年度)。市営地下鉄全49駅のなかで最大の混雑駅となっている。新幹線延伸によって駅周辺の大規模な再開発が進めば、利用者はさらに増加することが見込まれており、新たにホームを増設することに決定した。
JR札幌駅南口の旧札幌西武跡地などでは、2028年7月の完成をめざして、家電量販店のヨドバシカメラを核とした複合商業施設(地上9階、地下7階)とオフィスビル(地上33階、地下5階)の建設工事が進んでいる。これらの建物は、南北線さっぽろ駅の新ホームとも直接つながる計画だ。
延伸計画が5年前倒しから再延期へ
北海道新幹線の札幌延伸は、もともと2035年度の開業予定だったが、札幌市による冬季オリンピック招致活動などを背景に、2030年度末に5年前倒しされた経緯がある。しかし昨年春、トンネル工事の難航や建設資材の価格高騰を理由に、開業時期が2038年度末以降に延期されることが正式に公表された。
この延期により、札幌延伸の実現は10年以上も先の見通しとなった。延伸の遅れを受けて、市関係者や市民からは、環境に配慮した水素燃料電池車両の導入構想や、路面電車LRT(ライトレールトランジット)の整備強化を求める声が高まっている。
駅周辺の再開発は着実に進行
延伸の延期にもかかわらず、札幌駅周辺の再開発プロジェクトは着実に進められている。大規模な商業施設やオフィスビルの建設が続くことで、将来的な交通需要の増加を見据えたインフラ整備が並行して実施されている。
特に南北線さっぽろ駅のホーム増設工事は、既存の駅機能を維持しながらの大規模工事となっており、乗客への影響を最小限に抑えるための工夫が随所に見られる。工事関係者は「安全第一で作業を進めているが、通行の際には注意を呼びかけている」と説明する。
将来の交通体系を見据えた議論
新幹線延伸の遅れを機に、札幌市の将来の交通体系についての議論が活発化している。水素車両の導入は脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして注目されており、LRT整備は市内の公共交通ネットワークの強化に寄与すると期待されている。
専門家は「新幹線延伸だけに依存せず、多様な交通手段を組み合わせた持続可能な都市計画が必要だ」と指摘。市民からも「延伸を待つ間にも、現在の交通環境を改善してほしい」という要望が寄せられている。
札幌延伸の実現までにはまだ長い時間がかかる見込みだが、駅周辺の再開発と並行して、将来を見据えた交通政策の検討が続けられている。



