東京都が路線バス運転手不足に14億円投入 女性・氷河期世代採用奨励金や住居手当支援
都がバス運転手不足に14億円 女性・氷河期世代採用奨励 (03.04.2026)

東京都が路線バス運転手不足に14億円の対策費投入 女性・氷河期世代採用を奨励

東京都内で路線バスの廃止や減便が相次ぐ深刻な運転手不足に対し、東京都は本年度、人材育成や働く環境の改善に取り組むバス事業者への支援に計14億円を投じることを決定した。この大規模な行政支援は、全国的なバス運転手減少の流れを食い止める先駆的な試みとして注目を集めている。

都内バス運転手が5年で約1600人減少 都営バスでも採用難に

都などの調査によると、2019年度に都内で1万8182人いたバス運転手は、2024年度には1万6619人に減少。全国的な平均年収が461万円(2024年)と全産業平均の527万円を下回る待遇の悪さが背景にある。都営バスを運行する都交通局では、約2000人の運転手の半数が50代以上と高齢化が進み、従来は募集すれば採用できた状況が一変。2025年度の採用予定170人に対し、実際の採用は145人にとどまるなど、深刻な人手不足に直面している。

都交通局の担当者は「車離れや不規則な勤務体系が運転手確保を困難にしている」と指摘。都営バスでは昨年10月に平日89便を減便し、今月も利用者の多い路線などで32便を増やす一方、136便を減便するなど、路線維持に苦慮する状況が続いている。

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女性・就職氷河期世代の採用奨励金1人30万円 住居手当支援に10億円

都の支援事業では、女性や就職氷河期世代を採用し育成に取り組む事業者に対し、1人当たり30万円の奨励金を支給。この事業に2億円を計上し、多様な人材の確保を後押しする。さらに、バス運転手に住居手当(年間12万円)を支給する事業者への支援に10億円を充て、運転手の生活環境改善を図る。

教育面では、都立高校2校で運輸業を志望する生徒を対象に、運輸・物流に関するキャリア教育を実施。生徒の普通自動車免許取得費用を最大40万円支援する制度も導入し、将来の運転手育成に力を入れる。

「2024年問題」で運転手不足が深刻化 全国では2030年に3万6000人不足の試算

バス運転手不足は全国的な課題だ。日本バス協会によると、2017年に13万3000人いた全国の運転手は、2021年に11万6000人に減少。2030年には推計で9万3000人にまで減り、2022年の輸送規模を維持するには3万6000人が不足すると試算されている。

時間外労働の上限規制を適用する「2024年問題」の影響もあり、路線や便数を維持するのに必要な運転手数の確保が以前から懸念されていた。都議会で問題提起してきた三戸安弥都議(自由を守る会)は「とにかくやってみることは大事だが、もっと早い段階からこの状態は予見できた」と指摘する。

行政支援の拡大に期待 運賃値上げだけでは限界

背景には運転手の待遇問題がある。3月27日には都西部で路線バスを運行する関東バス(中野区)の労働組合が賃上げなどを求めて一時、ストライキに入る可能性もあった。東京都市大学の西山敏樹教授(交通福祉政策)は「東京がやることに意味はある。他の自治体に広がっていく可能性はある」と評価する。

運転手の待遇改善のための運賃値上げは、バス会社にとって乗客減少のリスクを伴うため、行政の支援を求める声が強かった。西山教授は、1度の予算措置では限界があり「まずは今回の予算額が十分だったのか、検証しなくてはいけない」と指摘。バス路線や便数の維持には、住民負担となる交通税の導入議論も必要だと提言している。

東京都の14億円に及ぶ大規模な支援策は、全国の自治体におけるバス運転手不足対策の先例となる可能性を秘めており、今後の展開が注目される。

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