群馬3人死亡事故、懲役20年判決 飲酒による危険運転認定の決め手は専門家証言
群馬3人死亡事故 飲酒危険運転で懲役20年判決

群馬県伊勢崎市の3人死亡事故で懲役20年判決 飲酒による危険運転が認定

一昨年5月、群馬県伊勢崎市の国道で発生した3人死亡事故をめぐる裁判で、前橋地裁は2026年2月13日、鈴木吾郎被告(71)に対し懲役20年の判決を言い渡した。この判決は検察側の求刑を全面的に認めるもので、裁判の最大の争点であった「過失」か「飲酒による危険運転」かの判断に決着がついた。

「常軌を逸した行動」と断じた裁判所の判断

高橋正幸裁判長は判決で、鈴木被告の運転を「非常に危険性の高い悪質な運転態様」と指摘し、「常軌を逸した行動」と厳しく非難した。事故当時、被告は時速約90キロで右ハンドルを切り、中央分離帯を越えて対向車線の車両に衝突。この行為が単なる前方不注視や速度超過ではなく、アルコールの影響下における危険運転であったと認定された。

専門家証言が捜査の転機に

裁判の重要な転機となったのは、第6回公判で証言した専門家の見解であった。検察側は、被告が運転前に焼酎を摂取していたことから、体内のアルコールが距離感や速度感を麻痺させ、判断能力を著しく低下させたと主張。これに対し弁護側は事故を過失によるものと主張したが、専門家の科学的分析が検察側の立証を強力に後押しした。

捜査関係者によれば、この専門家の証言が事件解明の決め手となり、裁判所が「アルコールの影響で正常な運転が困難だった」と結論づける根拠となった。遺族が提供したドライブレコーダーの映像も、事故の状況を客観的に示す証拠として重要な役割を果たしている。

遺族の長い闘いと社会的影響

事故から約2年が経過する中、遺族は「誰がどう見ても『危険運転』」と訴え続けてきた。判決はこうした遺族の思いに一定の回答を示す形となった。過去の関連裁判では、被告が「酒は飲んでいない」と主張したり、焼酎の空き容器を「青汁」と説明するなど、飲酒の事実関係が争われるケースもあったが、今回の裁判では科学的証拠に基づく判断が下された。

この判決は、飲酒運転の危険性を改めて社会に問いかけるとともに、交通事故裁判において専門家の証言が果たす役割の重要性を浮き彫りにした。事件をきっかけに、危険運転致死傷罪の適用基準や飲酒運転対策の強化に関する議論が活発化することが予想される。