横須賀の子ども食堂が24時間365日体制で無料開放「費用払えない子こそ守りたい」
横須賀の子ども食堂が24時間365日無料開放

横須賀の子ども食堂が24時間365日体制で無料開放「費用払えない子こそ守りたい」

神奈川県横須賀市の古民家で活動するNPO法人「よこすかなかながや」が、子ども食堂の運営を24時間365日体制に拡大しました。この「年中開放」は全国的にも極めて珍しい取り組みで、居場所のない子どもたちがいつでも駆け込める安全な場所を提供しています。

深夜に助けを求める子どもたちの受け皿に

昨年末の夜11時半ごろ、和田信一理事長(58)が買い物から戻ると、古民家の前に高校生の男の子が立っていました。親とのけんかで家を閉め出され、行く場所がなくなったというのです。男の子は「児童相談所や警察を頼ると大ごとになり、親が悪者になってしまう」と考え、以前利用していたなかながやを選びました。

数年前にも、親からの虐待から逃れて深夜に飛び込んできた女子中学生がいたといいます。和田さんは「食堂が閉まる夜間に助けを求めて来た子が、他にもいるかもしれない」と気づき、24時間体制での受け入れを決意しました。

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24時間365日体制での運営開始

今年4月から、事前予約制で毎日3食を提供する体制がスタート。支援員は夜間を含め、1日3回の食事時間以外も常駐しています。訪れた子どもの話をじっくり聞き、必要に応じて食事を出したり、児童相談所や警察、学校などへの連絡を行ったりしています。

子どもたちを不安にさせないために、必ず2人以上で対応し、室内の様子も録画するなど、安全面にも細心の注意を払っています。和田さんは「ここは支援の入り口。まずは今抱えている課題から守り、より良い将来につなげたい」と語ります。

「なか」に込められた思い

施設名の「なか」には「おなかいっぱい」「みんななかよし」という思いが込められています。和田さんは20代から長距離トラック運転手として忙殺され、育児にほとんど携われなかった経験から、子どもの居場所づくりを始めました。

貧しくてご飯を食べられない子、学校で問題行動を起こす子、虐待や不登校で悩む子たちが一緒に食事し、生活習慣を身につける様子を見守ってきました。地域の絆が薄まり「今の子は昔より孤独を抱えがち」と感じる中で、この食堂が重要な役割を果たしています。

全国1万2000カ所の子ども食堂と行政の課題

全国の子ども食堂は民間調査によると1万2000カ所以上に上り、公立中学校の数を上回っています。子どもにまつわる課題対応を行政が現場に任せきりにしているとの指摘もあり、和田さんも「本来なら国が手厚い対策を取るべき」と訴えます。

しかし「待っていたら目の前で悩む子を救えない。今助け、その子が少しでも社会に順応し、働き、『生まれてきて良かった』と思える手伝いをしたい」と、現場での実践を続けています。

寄付に頼る「綱渡り」の運営

利用料は無料で、活動開始当初は和田さん自身が高齢者介護の仕事で得た給料で家賃や光熱費をまかなっていました。現在は個人・企業の寄付や賛助会費で運営していますが、「綱渡り」の状態が続いています。

年中開放に向け、民間財団の助成公募に2026年度分の人件費・運営費計1200万円を申請しましたが、不採択となりました。和田さんは「費用を払えない子こそ守りたくて、無料でやってきた。苦しいのは仕方ない」と話す一方で、「何カ所も支援を申請するのは大変。不採択も珍しくなく、物価高で活動を縮小する子ども食堂も出てくると思う」と懸念を示します。

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クラウドファンディングで希望の光

明るい材料もあります。3月から始めたクラウドファンディングでは、4月末の募集期限を前に、当初目標の300万円の2倍を超える630万円以上が集まっています。寄付金は防犯用のシャッターやガラス設置費のほか、人件費と運営費にも充てられる予定です。

和田さんは「『子ども食堂なら頼れる』と来てくれる子の受け皿になりたい」と繰り返し、24時間365日体制での受け入れを続けています。利用申し込みや問い合わせは同食堂(電話046-804-5233)まで受け付けています。