2026年4月29日、米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)は、ジェローム・パウエル議長の2期8年にわたる任期中、最後の会合を迎えた。パウエル氏は度重なる危機対応に追われ、任期終盤にはドナルド・トランプ大統領からの執拗な利下げ圧力にさらされた。最後まで、中央銀行を政治から「守る」ことにこだわった。
「これが議長として最後の記者会見です」
金融政策の説明を終えると、パウエル氏はそう切り出し、落ち着いた口調で語り出した。彼は「FRBは、米国の家庭や企業が繁栄できる経済環境を整えるという、一つの根源的な目的のために存在します」と述べ、中央銀行の役割を強調した。
パウエル氏の経歴
共和党員で弁護士、愛称は「ジェイ」。ブッシュ(父)政権で財務次官を務め、オバマ政権下の2012年にFRB理事となった。2017年11月にトランプ氏から議長に指名され、翌年2月に就任した。前任のイエレン氏やその前任のバーナンキ氏のような経済学者ではないが、投資銀行などウォール街での経験が買われた。当初はトランプ氏の信頼も厚く、指名の際には「(パウエル氏は)賢明さと指導力を持っている」と評された。
「現実主義者」の光と影
金融政策においては「中立派」とされ、柔軟な姿勢で知られる。しかし、トランプ大統領からの利下げ圧力に対しては、「FRBの独立性は民主主義の基盤」と主張し、政治的な介入を拒否してきた。任期終盤には、トランプ氏がFRB議長を「解任する」と脅す事態も発生したが、パウエル氏は一貫して独立性を守り抜いた。
パウエル氏の任期は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックやインフレ高進など、歴史的な危機に直面した時期でもあった。FRBは大規模な金融緩和と引き締めを実施し、経済の安定化に努めた。最後の記者会見でパウエル氏は「FRBは政治から独立して行動することで、最も効果的に機能する」と述べ、後任へのメッセージを残した。
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