インドの即時配達サービス業界が激しい競争の渦中にある。食品や日用品を注文からわずか10分ほどで届ける即時配達が急速に普及し、各社がしのぎを削っている。しかし、スピード優先のビジネスモデルは配達員の安全や労働環境に負担を強いる恐れがあり、政府は過剰な競争に歯止めをかける動きを見せている。
即時配達サービスの現状
インドの首都ニューデリーでは、配達員がバイクで街を駆け巡る光景が日常的だ。業界最大手の「ブリンキット」をはじめ、「ビッグバスケット」「ゼプト」「ミルクバスケット」など多くの企業が参入し、競争は激化している。利用者はアプリで果物、パン、菓子類、飲料など多様な商品を選択し、住所と個数を入力するだけで、最寄りの配送拠点から即座に荷詰めが始まり、配達員がバイクで届ける仕組みだ。
需要拡大の背景
このサービスの利便性は、酷暑の夏や大気汚染が深刻な冬でも外出せずに済む点にある。重くてかさばる商品でも自宅にすぐ届くため、需要は拡大の一途をたどっている。調査会社ケアエッジ・アナリティクス・アドバイザリーによると、2025年度(2025年4月~2026年3月)の市場規模は6400億ルピー(約1兆円)と見込まれ、2030年度までに2兆ルピーに達する見通しだ。
政府の対応と課題
しかし、スピードを強調した過剰な競争は、配達員の安全や労働環境に悪影響を及ぼす可能性がある。インド政府は「10分配達」を前面に押し出すような過熱した競争に懸念を示し、規制を強化する方針だ。業界の成長と労働者の保護のバランスが問われている。



