理化学研究所などの研究チームは、哺乳類の初期受精卵において、父方と母方のゲノムが別々の場所に存在することで核の巨大化を防ぎ、受精卵が正常に成長できることを明らかにした。研究成果は29日付の英科学誌ネイチャーに掲載された。
父母ゲノムの「別居」が重要な役割
哺乳類の受精卵では、最初の細胞分裂が起きるまで、父方と母方のゲノムを含む「前核」が離れた状態で存在する。細胞分裂後は一つにまとまるが、この「別居」の意義はこれまで不明だった。
チームはマウスを使い、父母のゲノムを人工的に一つの前核にまとめた受精卵を作製。その結果、前核は通常より大きくなり、遺伝子の働きを調整する機能が低下し、出生まで至る割合が通常より約4割減少した。
前核の大きさと細胞質の関係
さらに、一つの前核を持つ受精卵に別の前核を追加すると、前核の巨大化が抑えられ、調整機能が回復。出生割合も通常の約8割まで戻った。また、細胞質の量を変えて前核の大きさを調べたところ、細胞質の量に比例して前核の大きさが変化することが判明した。
研究チームは、この成果が生命発生の仕組みの解明につながり、不妊治療への応用が期待されるとしている。



