東京大学と日本電信電話(NTT)は1日、研究論文の執筆を支援する生成AI(人工知能)システムを共同開発したと発表した。このシステムは、文献調査やデータ分析、文章構成案の作成、さらには校正までを一貫して行うことができ、研究者の負担を大幅に軽減すると期待されている。
開発の背景と目的
近年、研究分野では論文数が増加し、研究者は文献調査や執筆に多くの時間を費やしている。特に、英語での論文執筆は非ネイティブにとって大きな障壁となっている。こうした課題を解決するため、東大とNTTは最先端の自然言語処理技術を活用したAIシステムの開発に着手した。
システムは、大規模言語モデルを基盤とし、研究テーマに関連する最新の文献を自動収集・要約する機能を持つ。さらに、収集した情報を基に論理的な構成案を提示し、ユーザーが書き進める文章に対してリアルタイムで校正や改善案を提案する。
システムの特徴
本システムの最大の特徴は、研究分野ごとの専門用語や文体を学習している点だ。医学、工学、人文科学など幅広い分野に対応し、各分野の論文スタイルに合わせた執筆支援が可能である。また、引用文献の自動生成機能も搭載しており、参考文献リストの作成も効率化される。
さらに、AIが生成した文章の出典を明示することで、情報の信頼性を担保している。ユーザーはAIの提案をそのまま使用するだけでなく、修正や追加を行うことで、自身の研究内容に合わせた独自の論文を作成できる。
研究効率化への期待
東大の研究チームは「このシステムにより、研究者は執筆作業にかかる時間を半減できる」と試算している。特に、若手研究者や留学生にとっては、言語の壁を越えた研究活動が可能になるとして、国際的な研究競争力の向上にも貢献すると見込まれている。
NTTは、このシステムを2026年度中に学術機関向けに提供開始する予定で、将来的には企業の研究開発部門への展開も視野に入れている。価格は未定だが、サブスクリプション方式を検討しているという。
今後の展望
両者は、今後さらにAIの精度向上を図るとともに、論文の査読プロセスを支援する機能の追加も計画している。生成AIの研究利用が広がる中、本システムは研究の質を維持しつつ、効率化を実現するツールとして注目を集めそうだ。



