「双葉に恩返しがしたい」72歳店主の新たな挑戦
福島県浪江町出身の大清水タミ子さん(72)は、14日に双葉町に居酒屋「こんどこそ双葉店」を開店する。昼は食堂、夜は居酒屋として営業し、新鮮な「常磐もの」を使用した刺し身や酒、定食などを提供する予定だ。木のぬくもりが感じられる和風な内装で、個室3部屋とカウンター10席を備えている。
震災前の縁を胸に、故郷での再出発
大清水さんは、出身地の浪江町で夫と共に店を始め、震災前まで約30年間、地元住民らに親しまれてきた。しかし、東京電力福島第1原発事故の影響で町外へ避難し、一度は店を閉じざるを得なかった。その後、避難先の二本松市で店を再開し、常連客に支えられながら営業を続けてきた。
「震災前は浪江店で双葉町のお客さんにもお世話になりました。その恩返しがしたいんです」と大清水さんは語る。古里双葉郡での新たなスタートを前に、復興への強い思いを明かした。
長男の誘いが背中を押す
大清水さんの心を動かしたのは、一足先に浪江町で店を再開していた長男の一輝さん(38)からの「双葉町で店をやってみないか」という誘いだった。「正直、この年で一からのスタートはしんどい」と苦笑いを浮かべる大清水さん。しかし、復興が進む古里で「若い人の力になって、復興を支えられれば」と考え、活力が湧いたという。
地元食材にこだわり、飽きずに通える店に
新規出店する店舗は、町の中心部にあるJR双葉駅前に町が整備した商業施設の一区画。魚は毎朝、市場で仕入れる「常磐もの」、コメは県産コシヒカリを使用する。昼の定食はバリエーション豊かなメニューがそろい、夜は定番の居酒屋メニューや会津の日本酒などを提供する。
大清水さんは「飽きずに通えるお店になるのでは」とほほ笑む。店名の「こんどこそ」には、「何度でも前向きに頑張ろう」という思いを込めた。「結局お客さんと話しているときが一番楽しい。生涯現役で、復興に携わる人に食事を届けたい」と意気込む。
商業施設に3店舗が集結、プレオープンも実施
双葉町がJR双葉駅前に整備した公設民営の商業施設には、「居酒屋こんどこそ双葉店」のほか、fatマネジメント(京都府)の「串と鉄板だるま」、アルム(北海道)の「CAFE FUTABA(カフェふたば)」の計3店舗が入る。14日のグランドオープン前に順次、プレオープンする予定で、9日には串と鉄板だるまがプレオープンした。
各店舗のプレオープン日程は次の通り。
- 居酒屋こんどこそ双葉店:11日午前11時~午後2時
- 串と鉄板だるま:10日午前11時~午後4時、11~13日午前11時~午後9時(ラストオーダー午後8時半)
- カフェふたば:10、11日の午前11時半~午後2時半、午後4時半~午後7時
大清水さんの食で復興を支える挑戦が、いよいよ幕を開ける。地域の再生に向けた一歩として、多くの人々の期待が寄せられている。



