長瀞火祭りの伝統行事「火渡り」が中止に
埼玉県長瀞町の不動寺前広場で来月1日に開催予定だった「長瀞火祭り」において、祭りの中心的な行事である「火渡り」の中止が正式に決定された。この決定は、同じ秩父地域で発生した大規模な山林火災の影響を考慮したものだ。長瀞火祭奉賛会によると、1978年の開始以来、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった2021年を除けば、今回が初めての中止となる。
秩父の山林火災が地域に与えた影響
4日に秩父市浦山で発生した山林火災は、県内外から多くの消防関係者が消火活動に当たる中、11日までに約143ヘクタールもの広範囲が焼失する大規模な災害となった。この火災は地域住民の間に大きな不安を生み出しており、祭り行事の実施環境に深刻な影響を与えている。
さらに、1日から運用が開始された新しい「林野火災警報」制度も中止決定の要因となった。この制度では、強風注意報など一定の気象条件下において、火の粉を屋外で飛散させる行為が制限されることになった。奉賛会の担当者は「地域住民の安全面への配慮と、新たな規制環境を総合的に判断し、事前の中止を決断した」と説明している。
春を告げる伝統行事として親しまれる火祭り
長瀞火祭りは秩父鉄道と同社グループで構成する長瀞火祭奉賛会が毎年この時期に実施してきた伝統行事である。秩父路に春の訪れを告げる祭りとして長年親しまれ、多くの家族連れや観光客が訪れる地域の重要なイベントとなっている。
「火渡り」は家内安全や疫病退散などを祈願する神事で、ヒノキの葉や薪などを燃やして「火渡り道場」を設営する。修験者が炎の中を駆け抜ける荒行を終えた後、一般の来場者が火の消えた灰の上を歩くことで、無病息災や願い事の成就を祈る儀式だ。
今回の中止決定は、自然災害の影響が地域の伝統文化にも及んでいることを示す事例となった。奉賛会では今後の開催について、安全が確保できる状況が整うまで慎重に判断していく方針を示している。