シンプルでスタイリッシュな招き猫「SETOMANEKI」、瀬戸焼の伝統と革新が融合
瀬戸焼の招き猫「SETOMANEKI」、現代の暮らしに寄り添うデザイン

シンプルでスタイリッシュな招き猫「SETOMANEKI」が福を招く

流線形のスラリとした体から伸びた手が、チョイチョイと手招きしている。なんともスタイリッシュな招き猫たち。どんな部屋にも調和して、さりげなく福を呼び込んでくれそうだ。置き場所を選ばず調和するデザインが特徴のスタイリッシュでかわいらしい「SETOMANEKI」。色も大きさも様々で、現代の多様な暮らしに寄り添う存在として注目を集めている。

愛知・瀬戸の陶磁器工芸メーカー中外陶園が開発

この招き猫は、三大産地の一つとされる愛知県瀬戸市の陶磁器工芸メーカー「中外陶園」で作られている。名前は「SETOMANEKI」。サイズは10センチ、16センチ、27センチの3種類があり、それぞれが部屋の和洋や玄関・リビングなど置き場所を選ばず調和するデザインに仕上げられている。

4代目・鈴木康浩氏が考案、シンプルさを追求

4代目・鈴木康浩さん(41)が2022年、「現代の多様な暮らしに寄り添い、多くの人のそばで幸せを招く存在に」との思いで考案した。猫背を表現した丸みなど瀬戸の招き猫の特徴を生かしつつ、表情は描かないようにするなどシンプルさを追い求めた。製作のきっかけは、新型コロナウイルスの流行による土産用招き猫の販売激減だった。旅先の思い出や記念の品にとどまらない、生活に溶け込んだ存在にしていかなければならないと思い立ったという。「どれだけ無駄をなくしたデザインにできるか。大きな挑戦でした」と鈴木さんは振り返る。

伝統と革新のバランスを大切に

鈴木さんが家業の同社に入ったのは2011年。瀬戸焼の伝統を大切にしつつ、時代に合わせた取り組みもしていきたいとの考えは当時から頭にあった。絵本作家と協業する製品の作製過程や、国内外で活躍するテキスタイルデザイナーやイラストレーターらとの協業もその一つ。絵本作家に依頼し、物語から出てきたような独創的な製品も生み出している。「販売開始から数日で完売するものもあります」と鈴木さんは語る。もちろん、クラシックな風合いの「古瀬戸型」招き猫の人気も根強い。そもそも瀬戸焼には、生活様式の変化に合わせて食器や置物などを生み出してきた長い歴史がある。「招き猫の様々な姿を通し、瀬戸焼の奥深さや魅力も伝えていきたいですね」と鈴木さんは強調する。

招き猫ミュージアムで歴史と魅力を発信

中外陶園は、全国各地から取り寄せた約5000体の招き猫を展示する「招き猫ミュージアム」も運営している。2005年の愛・地球博(愛知万博)の開催に合わせ、江戸末期から続く日本の縁起物である招き猫の魅力を発信したいと、コレクターから借り受ける形でオープンした。招き猫が普及していった歴史などをパネルで紹介。地元の瀬戸焼のほか、ふっくらした体つきで小判を抱えている愛知・常滑焼、華やかな絵付けがされた石川・九谷焼の三大産地の特徴も解説している。

鈴木康浩氏は1984年、愛知県瀬戸市生まれ。東京都内の大学で経済学を学び、航空会社で4年間の勤務を経て中外陶園に入る。2021年に代表に就任し、2023年には瀬戸焼の絵付け体験施設をオープンするなど、伝統工芸の継承と革新に取り組んでいる。