光のモニュメントが10年の節目を迎え、過去最多の開催地で実施へ
南相馬市で2017年に始まった東日本大震災の犠牲者の鎮魂と故郷再生への願いを込めた「光のモニュメント」が、今年で10年目を迎えました。サーチライトが天高く伸び夜空を貫くこのイベントは、本年度は過去最多となる10市町村12カ所で実施される予定です。特に3月1日には、同市小高区摩辰地区の牧草地にある柿の木「精霊の木」で点灯式が行われます。
須藤栄治さんが語る節目の思いと活動の継続
精霊の木の名付け親であり、イベント実行委員長を務める須藤栄治さん(53)は、今後の展望について次のように語っています。「10年を節目に、今後は再生と繁栄へ願いを込めてイベントを続けていきたいと考えています。震災からの復興だけでなく、地域の未来を見据えた活動に発展させたいです。」
須藤さんは同市で飲食店「だいこんや」を営む一方、発災直後から市民有志で任意団体「つながろう南相馬!」を結成し、福島県からの感謝を伝える活動などを地道に続けてきました。光のモニュメントを始めたきっかけは、原発事故に伴う避難区域が原町、鹿島、小高各区で分断された状況を感じ、「つなぎたい」という強い思いからでした。
光のモニュメントの起源と拡大
かつて合併前の原町市のシンボルだった原町無線塔を光で再現し、地域の誇りと未来へのメッセージを込めたこのイベントは、2017年の初回は各区の計5カ所で実施されました。その幻想的な光景は大きな話題を呼び、年々開催地を拡大。本年度は昨年11月の川内村をスタートに、葛尾村、飯舘村、浪江町、相馬市などで既に点灯が行われています。
精霊の木との出会いと神秘性
開催場所の一つである小高区の柿の木「精霊の木」は、須藤さん自身が名付けたものです。須藤さんが常磐道で小高区摩辰地区を走行中、田畑が生い茂る風景の中、手入れされた一角が目に飛び込み足を運んだことがきっかけでした。この地区は第二次世界大戦後に開拓された土地で、近くには金房村開拓組合入植10周年を記念した詩人高村光太郎の詩「開拓十周年」が刻まれた石碑があります。
周辺を散策する中で、小高い丘で畑と牧草地が広がる風景の中から一本の柿の木を見つけました。見る角度を少し変えるだけで違う表情を見せるその柿の木に神秘性を感じ、「精霊の木」と名付け、毎年ライトアップを続けています。現在では、精霊の木は多くの写真愛好家が訪れる人気スポットとなっています。
次の10年を見据えた活動の展望
須藤さんは、イベントや精霊の木との出会いを通じて、日常の中にある風景を見つめ直すきっかけも生まれたと語ります。「改めて問われる次の10年。『先人が残した足跡』と『今あるもの』をつなぎ合わせる活動を、市町村の枠を超えて取り組みたいと考えています。地域の歴史と未来を結びつける役割を果たしていきたいです。」
今後の開催予定と詳細
本年度に今後予定している光のモニュメントは、3月1日の精霊の木と、3月11日の高見公園(原町無線塔跡地)の2カ所です。点灯時間は日没から午後8時ごろまでとなっており、多くの方々の訪れを期待しています。このイベントは、震災の記憶を風化させず、復興への歩みを続けるための重要な取り組みとして、地域全体で支えられています。
