「キャリアと家族はトレードオフではない」働く親の転職支援XTalent上原達也社長の挑戦
キャリアと家族はトレードオフではない XTalent上原社長の挑戦

キャリアと家族の両立を目指す働く親たちの新たな選択肢

新卒で入社したIT企業では、早朝出勤と深夜帰宅が日常的なハードワークが続いた。24歳で結婚し、26歳で長女を授かった上原達也氏は、共働きで子育てをするイメージを描くことができなかった。当時、出版社に勤める妻が育児休暇を取得する流れになったのは、経済的な合理性から判断した選択だった。しかし、お互いが本当に望んで決めたことなのか、今でも確信が持てないという。

ワンオペ育児の現実と社会課題への気付き

帰宅すると妻も娘も寝ている日々が続き、週末も仕事に追われることが多かった。妻が娘を寝かしつける間に家に戻ると、流し台には洗われていない食器が積み上がっている光景を目にした。ワンオペ育児に奮闘する妻の苦労を感じながらも、どうすることもできないもどかしさがあった。早く帰れば職場に後ろめたさを感じ、家に帰れば妻に罪悪感を抱くというジレンマに陥った。「キャリアとライフはトレードオフなのか」という疑問が募り、これは個人の問題ではなく社会課題だと考えるようになった。

転職先での気付きと起業への決意

転職先では、子育て中の女性上司の下で働き、仕事と育児について語り合える環境に恵まれた。その頃生まれた次女の育児にも積極的に関わることができた。ほとんど関われなかった長女からは「お父さんじゃだめ」と言われてしまうこともあったが、次女は懐いてくれた。この経験が、在宅勤務など柔軟な働き方ができる職場への転職を支援する「XTalent」の創業につながった。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ
父親の働き方改革への取り組み

現在、同社の相談登録者の半数を男性が占める月もある。仕事と家族との時間を両立したいという意識の表れだ。男性の育休取得を推奨する社会になったとはいえ、復帰後は以前の働き方に戻りがちな現実がある。育休取得を勧めるのはルールだからであり、根本的な意識改革が進んでいないからだ。「子どもができたら男性はもっと働かないと」という固定観念は依然として根強い。

家族共同運営という新たな形

起業の際、その内容を妻に話すのは気恥ずかしかったが、妻は「好きにすれば」と言いながらも様々な形で応援してくれた。現在、妻は出社勤務、上原氏は在宅勤務という形で働いている。時短家電を駆使して料理も担当し、得意料理のパスタは娘たちから「パパは料理が上手」と評価されている。娘たちには、父親は外で仕事、母親は家事という固定観念はない。泣きながら宿題をする娘の相手をする大変な場面もあるが、夫婦二人で臨むことで何とか回している。これは家族を共同運営する感覚だと語る。

公務員の父と専業主婦の母に育てられた経験

上原氏は「男らしく」という言葉をかけられたことはなく、「自分らしく」生きることを許容される環境で育った。仕事で何かを成し遂げたいという思いと、家族の時間や夫婦それぞれのキャリアを大切にしたいという願い。これは欲張りなことだろうか。女性だけの問題ではない。妻がキャリアを犠牲にするとき、夫はライフを犠牲にしている。これは表裏一体の関係だ。家族か仕事かと何となく諦めていると、その考え方は次の世代に引き継がれてしまう。「トレードオフにしない」ことを追求し、どちらも諦めない社会を実現しなければならないと強く訴える。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ