関東バス、ストライキ回避で通常運行 低賃金・長時間労働の改善求めぎりぎり決着
関東バススト回避 低賃金改善求めぎりぎり決着

関東バス、ストライキ回避で通常運行 低賃金問題でぎりぎり決着

東京23区西部のJR中央線沿線を中心に路線バスを運行する関東バス(東京都中野区)で、賃金引き上げを求める労働組合が計画していたストライキが回避され、27日朝からバスは通常通り運行された。労使交渉が始発約4時間前のぎりぎりのタイミングで妥結し、利用客の混乱は防がれた。

始発直前の決着、利用客から安堵の声

関係者によると、労組側は24日にストライキを通告し、会社側との交渉を続けていた。26日午後11時55分に会社側が賃金引き上げ条件を受け入れる意向を示し、27日午前0時55分ごろに妥結が成立。始発まで約4時間に迫る緊迫した状況での決着となった。

同日午前8時過ぎ、東京都武蔵野市のJR吉祥寺駅北口のバス停では、ストライキ中止のお知らせが掲示され、利用客が普段通り列を作ってバスを待っていた。通勤で利用する杉並区の50代女性は「夜中にネットで回避を知って安心した」と胸をなで下ろし、フラダンス教室に向かう武蔵野市の78歳女性は「バスが走らなかったら教室は休みだったので良かった」と笑顔で乗り込んだ。

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運転手の待遇改善を願う利用客の声

利用客からは、バス運転手の労働環境改善を求める声も相次いだ。10年ほど平日に毎日利用している60代の男性会社員は「減便により満員でバスにまともに乗れないようになった。運転手確保のためにもしっかり賃上げした方が良い」と指摘。通勤の女性会社員も「運転手の仕事環境が改善することで、利用者の利便性も良くなると思う」と語った。

労組側は取材に対し「利用者に不安を与えてしまい申し訳ない。ただ会社側には減便せざるを得ない現場の状況や、利用者に目を向けて、これからも考えてほしい」と訴えた。会社側は「多大なご心配、ご迷惑をおかけいたしました。深くおわび申し上げます」とコメントしている。

バス業界全体に広がる労働環境問題

関東バスのストライキは回避されたものの、労組が訴えた低賃金や長時間労働の問題は全国的な課題となっている。国土交通省のデータによると、バス運転手の賃金は全産業平均と比べて低水準で推移しており、2022年には98万円の差が生じていた。

労働時間も深刻で、2024年の全産業平均年間労働時間が2052時間だったのに対し、バス運転手は2376時間と大幅に長い。国交省担当者は「待遇が悪ければ、若い人も入ってこない。バス会社には運転手の待遇改善に資する運賃改定をやっていただく必要がある」と指摘する。

専門家が警鐘 減便・廃止の加速懸念

路線バスに詳しい東京都市大学の西山敏樹教授(交通福祉政策)は「賃金が抑えられ、人が集まらないという悪循環に陥っていて、どこの会社も人手確保に苦労している。現場の危機感は高まっていて、まずは運転手の賃金を上げる必要がある」と強調する。

西山教授は、複数のバス会社の労組から相談を受けていると明かし、運転手の労働環境が改善されなければ「今後数年内に他の路線バス会社でもストが行われる可能性がある」と警告。実際、都営バスでは昨秋に一部路線を減便し、今年3月には一部を休止する動きが出ている。

さらに教授は「交通税」を徴収して運転手の賃上げに回すという議論があることを紹介し、「みんなで公共交通を守るという発想をしなければ、路線バスを巡る現状は変わらず、これからは立ちゆかなくなる」と警鐘を鳴らしている。

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労組側は、低賃金や長時間労働を背景に離職者が相次ぎ、運転手不足が常態化していることを受け、会社側に賃金引き上げを求めて交渉を続けてきた。今回のストライキ計画では、路線バス計7265本や成田・羽田両空港への連絡バスなどが運行中止となる可能性があっただけに、ぎりぎりの決着が利用客の日常生活を守る結果となった。