京都の中小企業、外国人従業員の定着に福利厚生と就労環境の改善が決め手
京都府内の中小企業において、外国人従業員の定着を図るため、福利厚生を含む就労環境の改善が重要な役割を果たしている。精密板金加工を手掛ける「小林製作所」(京都府長岡京市)は、従業員約130人のうち、約80人がベトナムとタイ出身者で、全体の6割を占める。作業場では母国語が飛び交い、多様な文化が融合する光景が日常となっている。
外国人採用の背景と初期の課題
同社が外国人採用を始めたのは2013年で、当時は40人体制だったが、事業拡大に伴う人手不足から踏み切った。社長の小林裕明さん(47)は、「半年待っても国内からの応募がなく、思い切って決断した」と振り返る。しかし、当初は定着が難しく、スキルを磨いた外国人従業員10人が、好待遇を条件に中部地方の都市部企業にまとめて引き抜かれる経験もあった。
就労環境の改善策と具体的な取り組み
定着率向上に向け、同社は言葉の壁を乗り越えるため多言語自動翻訳システムを導入し、カラオケルームを備えた外国人専用寮を設けた。特に力を入れたのは、「特定技能」の在留資格延長につながる国家資格の受験支援で、専門講師を招き、日本語の学科試験に向けた読み書きの特訓を実施している。
これらの取り組みにより、ビザ切れで帰国する従業員が年間15人ほどいる一方、ほぼ同数の新規採用が可能な好循環が生まれている。小林さんは、「長く働いてもらうには、福利厚生を含む環境整備が不可欠だ」と強調する。
技能実習制度の廃止と新たな課題
2027年度には、原則転職ができない「技能実習制度」が廃止され、本人の意向で転職が認められる「育成就労制度」に移行する。これは劣悪な労働環境の見直しだが、人材の「奪い合い」が始まる可能性がある。小林さんは、「賃金格差や休日の数では、地方の町工場は都市部の小企業に及ばない」と課題を明かす。
京都府内の外国人雇用の現状と行政支援の必要性
京都労働局の年次統計によると、府内で外国人を雇用する事業所は、昨年10月時点で6590か所と、前年同期から1割強増加している。このうち、従業員30人未満の事業所が6割強を占め、中小・零細企業が人手不足を外国人労働者で補う現状が浮かび上がる。
資格支援や投資は中小企業に負担が大きいため、小林さんは「行政の支援が地方のメリットになれば、東京などへの一極集中を避けられる」と訴える。産業や雇用を支える中小企業の持続可能性が、地方衰退を防ぐ鍵となっている。



