原油高騰が実質賃金に暗い影、ニッセイ基礎研・斎藤氏が「プラス定着崩れる」と懸念
原油高が実質賃金に影、斎藤氏「プラス定着崩れる」懸念

実質賃金13カ月ぶりプラスも原油高が暗い影

厚生労働省が発表した2026年1月分の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価変動を考慮した働き手1人あたりの実質賃金は前年同月比で1.4%増加し、13カ月ぶりにプラスに転じたことが明らかになった。しかし、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の高騰が、この実質賃金の改善傾向に暗い影を落とす可能性が強まっている。

名目賃金の伸びと物価鈍化がプラス要因

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎・経済調査部長は、1月の実質賃金がプラスになった背景について次のように分析する。「名目賃金の伸びが予想以上に堅調でした。もともと賃上げの動きによって2%台の伸びは見込まれていましたが、それに加えて消費者物価指数の上昇率が2%を下回ったことが実質賃金のプラス転換につながりました。これは想定通りの動きと言えます」。

1月の消費者物価が低下した理由としては、ガソリンに対する暫定税率の廃止影響が大きく、さらに食料品価格の上昇ペースが鈍化したことも効いたと斎藤氏は指摘する。これらの要因が相まって、実質賃金の数値改善が実現したという見解を示している。

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原油価格高騰が賃金上昇の持続性を脅かす

しかし、現在進行中のイラン情勢を巡る国際的な緊張の高まりは、原油市場に大きな影響を与えている。原油価格の急騰は、エネルギーコストの上昇を通じて日本国内の物価を押し上げる圧力となり得る。斎藤氏はこの点について強い懸念を表明している。

「実質賃金のプラス転換は歓迎すべき動きですが、その基盤はまだ脆弱です。原油価格の高騰が続けば、物価が再び上昇に転じ、せっかくの実質賃金のプラスが定着する前に崩れてしまう可能性があります」と斎藤氏は警鐘を鳴らす。

実質賃金の計算では、名目賃金から物価上昇分を差し引くため、物価が急上昇すれば実質的な購買力は低下する。1月のプラス転換は、物価上昇が一時的に鈍化したことによるものであり、エネルギー価格の高騰が本格化すれば、この好転傾向は短命に終わる恐れがある。

今後の賃金動向に注視が必要

労働経済の専門家たちは、今後の実質賃金の動向について慎重な見方を示している。春季労使交渉(春闘)における賃上げ要求は前年比でわずかに減少しているものの、依然として高い水準を維持している。しかし、企業業績への影響を懸念する声も少なくない。

斎藤氏は次のように述べている。「今後の焦点は、名目賃金の伸びが物価上昇を上回り続けられるかどうかにあります。原油価格の動向が国内物価に与える影響を注視しながら、賃金と物価のバランスを慎重に見極める必要があります」。

実質賃金の動向は家計の購買力に直結するため、消費活動や経済全体の成長にも影響を及ぼす。13カ月ぶりのプラス転換は明るい材料ではあるが、その持続性については国際情勢やエネルギー市場の変動に左右される不安定な要素が残っている。

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