消費者庁が2026年度に公益通報制度の実態調査を実施へ
公益通報制度を所管する消費者庁は、2026年度に全国約1800の自治体や国の機関を対象とした制度運用の実態調査を実施する方針を明らかにした。この調査は、兵庫県で発生した内部告発問題や、昨年成立した改正公益通報者保護法を踏まえて行われるもので、制度の適切な順守を確認し、通報者が保護される環境の整備を目指す。
兵庫県問題と法改正が背景に
調査の背景には、兵庫県の斎藤元彦知事が昨年3月の記者会見で、内部告発問題に関連して「外部通報の扱いが明確でない」と発言したことがある。これを受けて消費者庁は同年5月、各自治体に対し、外部通報も保護対象であることを明確にした通知を発出した。
さらに昨年6月には、改正公益通報者保護法が成立し、通報者への不利益処分に対して刑事罰を科す規定などが盛り込まれた。同法は今年12月に施行される予定で、消費者庁は施行前の現状把握のために今回の調査を計画した。
調査内容と実施スケジュール
今回の調査では、以下のような点に焦点が当てられる予定だ。
- 外部通報の場合も、内部通報と同様に保護対象としているか
- 外部通報に関するルールを要綱などで明確に定めているか
- 通報者への探索や不利益処分の禁止が徹底されているか
調査は2026年4月以降に実施され、結果は同年秋頃に消費者庁のホームページで公表される見込みだ。同庁の担当者は「調査結果を基に、あらゆる行政機関で通報者が守られる環境を整えたい」と意気込みを語っている。
兵庫県の対応強化と他自治体の動き
兵庫県では、昨年6月の法改正を受けて公益通報への対応を強化している。昨年12月には要綱を改正し、外部通報も内部通報と同様に保護対象とすることを明文化した。さらに、知事や副知事が告発対象となった場合には、弁護士などの外部専門家によるモニタリングを実施する方針を打ち出している。
斎藤知事は今月24日の記者会見で「公益通報者保護制度は組織の自浄作用を支える大切な取り組みだ」と述べ、法の趣旨に沿った対応を続ける姿勢を示した。
他の自治体でも体制整備が進んでおり、消費者庁の調査では、2023年12月時点で13県が庁外に通報窓口を設置していなかったが、兵庫県の問題が発生した2024年3月以降、石川県や香川県、高知県など6県が新たに庁外窓口を設置した。
高知県では昨年4月に庁外窓口を設置し、専用メールアドレスを設けて弁護士が通報者と直接やり取りする体制を整えた。担当者は「兵庫県の問題を受け、窓口の独立性を高める必要があると判断した」と説明している。
公益通報制度とは
公益通報制度は、所属先の不正行為などの情報を定められた通報先に伝えた労働者らを保護する制度だ。刑法や労働基準法など約500の法律に違反する犯罪行為や過料対象の行為が通報対象となる。公益通報者保護法では、通報を理由とした解雇を無効とし、懲戒処分など通報者への不利益な扱いを禁じている。



