保育士の業務効率化へ日本生命主導のコンソーシアムが2026年度事業化、復職支援マッチングも推進
保育士業務効率化へ日本生命主導コンソーシアムが2026年度事業化 (20.03.2026)

保育業界の課題解決へ日本生命主導のコンソーシアムが2026年度事業化

保育業界の深刻な課題解決を目指し、日本生命保険が主導して設立した共同事業体「保育イノベーションコンソーシアム」が、2026年度から保育士の業務効率化支援事業を本格的に開始することが明らかになった。同コンソーシアムは、保育士不足の解消と労働環境改善に向けた包括的な取り組みを推進しており、潜在保育士の復職支援マッチングシステムの構築も進めている。

6社が参加するコンソーシアムが業界共通課題に取り組む

日本生命保険と傘下のシステム会社ニッセイ情報テクノロジー、ニチイ学館、保育事業者の学研ホールディングス、グローバルキッズ、ライクの計6社が2025年3月に「保育イノベーションコンソーシアム」を設立。同年10月には社会福祉法人すくすくどろんこの会が加わり、事業者単独では実現が困難な人材確保やDX推進、コスト削減など業界共通の課題解決を目的とした活動を展開している。

コンソーシアムはこの1年間、保育士の働き方に関する詳細な調査を実施し、労働環境の課題を体系的に整理。さらに、子どもの情報管理や事務作業をデジタル化するシステムの実証実験を完了させ、2026年度からの本格提供に向けてシステム改修を進めている状況だ。

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潜在保育士110万人の復職支援へマッチングシステム構築

全国に約110万人いると推定される潜在保育士の職場復帰を後押しするため、コンソーシアムは短時間勤務でも可能な受け入れ先施設と人材を結ぶマッチング仕組みの構築を急ピッチで進めている。このシステムは2026年度中の実用化を目指しており、将来の人材確保に向けた基盤整備として期待が寄せられている。

さらに、中長期的な人材育成戦略として、保育士養成施設との連携を強化。中高生を対象に保育職の魅力を発信する取り組みも積極的に展開し、業界全体の持続的な発展を支える人材基盤の強化に努めている。

共同調達によるコスト削減も検討、持続的運営基盤を構築

コンソーシアムでは、消耗品にかかるコスト削減を目的とした共同調達スキームの可能性についても検討を重ねている。共働き世帯の増加や2026年度から全国で開始される「こども誰でも通園制度」の導入により、保育ニーズがさらに高まることが予想される中、現場の保育士不足が慢性化している現状を踏まえ、保育の質を維持しながら業務負担を軽減することが急務となっている。

日本生命ライフサポート事業部長の笠原有子氏は、少子高齢化が進展する中で保険だけではカバーできない社会的ニーズが拡大していることを指摘。同社の中期経営計画において、保育・介護を生命保険と並ぶ安心提供領域として位置づけ、取り組みを強化する方針を明らかにした。

社会福祉法人の参加拡大が今後の課題

笠原氏は今後の課題として、社会福祉法人の参加拡大の必要性を強調。2000年の規制緩和で株式会社の保育市場参入が認められたものの、依然として運営主体の多数を社会福祉法人が占めている現状を踏まえ、「ともに課題に取り組まなければ根本的な解決にはつながらない」と述べ、賛同の輪を広げていく重要性を訴えた。

日本生命は2024年にニチイホールディングスを買収して保育事業に参入。コンソーシアムで得られた知見を活用し、地域の保育事業者向けに保育士の採用育成や資金支援などの経営支援サービスを提供することを目指している。将来的には、保育事業者を通じて地域住民との接点を創出し、保険事業との相乗効果を図る構想も持っている。

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コンソーシアム発足から1年を経て、活動の軸となるステートメント策定やキープレーヤーであるこども家庭庁への定期的な活動報告を通じ、存在感を示すことに成功。復職支援や共同調達スキームの検討など、2026年度の実装に向けた確かな足がかりを築いたと評価している。