新聞業界に根強いジェンダー格差 初の大規模調査で実態が明るみに
日本新聞協会は2026年4月23日、加盟する新聞・通信社99社の全社員および役員を対象とした「ジェンダー・多様性に関する意識調査」の結果を公表しました。この調査は業界初の大規模な取り組みであり、長時間労働や男性管理職の多さが指摘される新聞業界の実態を把握するために実施されました。
男女間で顕著な認識のギャップ
調査は2025年11月から12月にかけて、約3万6千人を対象にインターネット上で実施され、9630人から回答を得ました。回答率は約27%でした。職場における男女の地位について「平等だ」と回答したのは、男性が40.7%であるのに対し、女性は26%にとどまりました。さらに「男性優遇(どちらかと言えばを含む)」と感じている女性は58.3%に上り、男性の29.4%の約2倍に達しています。
長時間労働に関する認識にも注目すべき結果が現れました。「長時間働く人が高く評価されるか」という問いに対して、40代以下の女性の6割以上、20代から30代の男性でも6割弱が「そう思う(どちらかと言えばを含む)」と回答しました。一方で、50代男性の半数以上、役員の7割弱が「そう思わない(同)」と答えており、世代間のギャップが明確に表れています。
女性の管理職忌避傾向が顕著
特に注目されるのは、管理職への志向に関するデータです。「将来管理職になりたくない(どちらかと言えばを含む)」と回答したのは全体の過半数に当たる50.8%でした。中でも30代女性の割合は58.1%と最も高く、女性の管理職忌避傾向が強く現れています。
関西大学の多賀太教授(ジェンダー学)は調査結果について、「新聞業界にジェンダー不平等が依然として存在していることを示している」と指摘しました。さらに教授は、「働き方と人事制度の構造的改革が、業界の持続可能な未来を切り開く鍵になる」と述べ、根本的な変革の必要性を強調しています。
先進的な取り組みを行う朝日新聞社の事例
業界内では、ジェンダー平等に向けた積極的な取り組みも進められています。朝日新聞社は2020年に「ジェンダー平等宣言」を公表し、2022年には女性リーダー育成のための「ジェンダー平等宣言+(プラス)」を策定しました。
同社は管理職に占める女性社員の割合を2020年の約12%から倍増させること、男性の育休取得率を100%にすることなど、具体的な数値目標を掲げています。これらの目標は毎年検証・公表されており、2026年4月時点では女性管理職の割合が19.4%、男性の育休取得率(特別休暇を含む)が93.0%に達しています。
こうした取り組みが評価され、朝日新聞社は2024年度に東京都女性活躍推進大賞の事業者部門で優秀賞を、2025年度には大阪市の女性活躍推進に関する市長表彰の大規模企業部門で最優秀賞を受賞しました。
今回の調査結果は、新聞業界が長年抱えてきた構造的な課題を改めて浮き彫りにしました。業界の持続可能性を確保するためには、働き方の見直しと人事制度の抜本的な改革が不可欠であることが、データによって明確に示された形です。



