クルド人団体、SNS上のデマと闘う
埼玉県川口市を拠点とする日本クルド文化協会が、交流サイト(SNS)で拡散される「テロ組織に資金を提供している」という根拠のない情報に対して、法廷で反証を行った。2023年のトルコ地震で集めた義援金約4000万円について、協会は「自爆テロを支援するために使われた事実はない」と主張し、その使途を詳細に説明した。
訴訟の背景
協会は、クルド人排斥を訴えるデモを主催する「日の丸街宣倶楽部」の渡辺賢一氏に対し、今後のデモの差し止めを求めてさいたま地裁に提訴している。2025年5月13日に行われた口頭弁論で、協会側は渡辺氏が主張する「義援金がテロ組織に渡った」という言説を否定する証拠を提出した。
トルコ政府の資産凍結発表が発端
この問題の発端は、トルコ政府が2023年、協会と幹部6人に対し、非合法組織クルド労働者党(PKK)への支援を理由にトルコ国内の資産を凍結すると発表したことだ。PKKはクルド人の独立を目指して武装闘争を続けてきたが、2025年に解散を宣言している。この発表を受け、一部メディアが「川口のクルド団体『テロ支援』」と報じ、SNS上でデマが拡散された。
義援金の使途を明らかに
協会の弁護団は、準備書面で義援金の流れを具体的に示した。2023年2月のトルコ南東部地震の際、協会は日本で寄付を募り、約4000万円を被災地に送金。この資金は、被災地の国会議員であるトグル氏を通じて、イスラヒエ市危機管理センターなどに届けられたという。トグル氏は感謝の動画メッセージを協会に送り、「支援のほとんどは協会と日本の友人たちによって提供されている」と述べている。この動画は協会のX(旧ツイッター)で公開されている。
トルコ政府の発表の信憑性
トルコ政府による資産凍結発表については、英国内務省の2020年の報告書が疑問を投げかけている。報告書では、クルド人問題に関する政府批判がテロリストのプロパガンダとみなされ、起訴につながる可能性があると指摘。日本でクルド人を支援する弁護団も、この報告書を根拠に「資産凍結は協会関係者がトルコで迫害を受ける恐れを示している」と声明を出している。
警察庁も「テロリスト指定なし」と答弁
2024年3月の参院法務委員会で、警察庁幹部は協会や幹部6人について、日本政府がテロリストやテロ支援者と認定しているか問われ、「指定していない」と答弁している。協会は一貫して否定しているが、SNS上では在日クルド人をテロと結びつける中傷が後を絶たない。
弁護団の見解
裁判後の記者会見で、弁護団の神原元弁護士は「この問題は裁判の大きな争点の一つ。訴訟を通じて被告側を追及したい」と述べた。協会のチョーラク・ワッカス代表は「テロ支援の根拠は一切ないのにデマが流れている。差別をあおる人たちが流している」と語った。



