東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉町)は、震災と東京電力福島第1原発事故の教訓を伝える中核拠点として、新たなステージに進んだ。震災から15年が経過する中、全国の人々にその存在を認識され、訪れてもらうための努力を重ね、記憶の風化を防ぐ取り組みが一層求められている。
登録博物館としての認定とその意義
伝承館は今年4月、博物館法に基づく「登録博物館」となった。登録博物館とは、資料展示や研究体制、学芸員の配置などについて都道府県教育委員会などの審査を受け、基準を満たした施設を指す。県内では伝承館を含め、県立博物館(会津若松市)など15施設が、公的に充実した社会教育の場として認定されている。
伝承館によると、資料の取り扱いが確実であることが裏付けられたため、他の博物館から文化的価値の高い展示物を借りやすくなる利点があるという。この認定を契機に、過去の災害の遺物を所有する施設との資料貸与などの連携を深め、来館者が多角的に被災の実態を学び、将来の災害に備えることができる展示の充実が期待される。
来館者数の動向と課題
2025年度の来館者数は、20年の開館以来2番目に多い9万2601人を記録した。今年の春の大型連休中(4月29日~5月6日)の来館者数も5683人で、同時期の過去最多を更新するなど好調だ。しかし、震災15年の節目で注目されたことが要因とみられ、継続的に人を呼び込むには一層の周知が必要となる。
県の調査では、本県から距離が離れている東海や関西などの地域で、復興に無関心な人が多い傾向が明らかになっている。兵庫や長崎などこれまで交流があった施設に加え、遠隔地にある博物館へ復興の現状や課題を伝える出張展示の企画を打診するなど、さらなる情報発信が求められる。
デジタルアーカイブの構築と新たな支援策
開館後に収集してきた震災や原発事故関係の資料については、データベース化が進められてきた。しかし、資料によっては公表に必要な個人情報の処理などの対応が難しく、外部の人が自由にインターネットでアクセスできるデジタルアーカイブとして活用するには至っていないのが現状だ。
伝承館はこれまで、博物館法の「博物館類似施設」だったため、文化庁が登録博物館を対象とする補助事業や専門家派遣などの支援策を活用できなかった。今回の認定により、全国の博物館の好事例を参考にしながら、新たに取り組めるようになった補助事業を効果的に取り入れ、デジタルアーカイブの構築など施設の魅力を高める試みを進めることが求められる。



